「カネが続かない。今がピークだよ」――昨年11月末の「大阪ダブル選挙」で圧勝した橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」について、野田佳彦首相の側近は2月初め、周囲にそう漏らした。

国会議員がいない大阪維新の会は政党助成金が受け取れず、資金難からいずれ勢いを失うという見立てだが、周囲には強がりにしか聞こえなかった。そもそも一人も国会議員のいない地域政党に、首相側近があえて言及せざるをえないところに大阪維新の会の勢いが示されているからだ。

橋下氏は次期衆院選で200議席確保を目標に、公明党や河村たかし名古屋市長率いる地域政党「減税日本」などと連携し、候補者を立てる見込み。

「河村氏と連携するうえで最大の障壁になっていたのが減税問題。橋下氏は減税路線に批判的で、河村氏を説得。結局、河村氏が折れて、増減税の議論を先送りすることで妥協した」(民主党議員)

その一方、河村氏とアベック当選した“同志”の大村秀章愛知県知事の動きは微妙。自民党出身の大村知事は「河村氏と主導権を争っている」(自民党議員)とされ、橋下氏、小沢一郎民主党元代表や新党大地・真民主の鈴木宗男代表らと接触するなど独自の動きを進めている。

鈴木氏周辺によると、「大村氏は東海地方で、自分が中心になって近畿の橋下氏と連携したがっている。石原新党については、国民新党の亀井静香代表を外し、石原慎太郎都知事が独自に新党を旗揚げしてくれることを期待している」という。

その石原新党に加わる予定の「たちあがれ日本」の平沼赳夫代表は「3月中に発足する」と明言しているものの、肝心の石原氏の腹の内がわからない。長男の石原伸晃自民党幹事長と落選中の宏高前議員は石原氏に「ムリをしないように」と話しているといい、石原氏も新党結成が伸晃氏に悪影響を与えることを危惧しているという。

一方、石原氏は橋下氏とは親密な間柄で、橋下氏も石原新党との連携を望んでいる。このため「伸晃氏の本心は次の衆院選後、父親のパイプを生かし、維新の会と連立政権を組むことではないか」(自民党幹部)という見方が出ている。捕らぬ狸の何とやら……。