不登校になった子供たちは、どんな人生を歩んでいるのか。『不登校新聞』編集長の石井志昂さんは「中学3年のときに不登校を経験した子どものうち、85.1%は高校に進学している。取材で出会った人たちの仕事はさまざまで、不登校の経験が貴重な財産になっている」という――。

※本稿は、石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

日本の高校生
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あきらめることも大事

子どもの得意なことを伸ばすのが望ましいとわかっていても、なんでもある程度できる子に育てようと思ってしまうことがあるかもしれません。苦手なことはとことん苦手だけれど、ずば抜けた才能を持つアスリートや研究者の親御さんたちも、苦労しているようです。

それでも、子どもに好きにやらせるしかないんだと、親があきらめることが大事なのだろうと思います。この子は大丈夫、と信じてあげてほしいと思います。

小学校ではほとんど不登校でまともに勉強しなかったけれども、子どもに決定をゆだねるようにしてきたという家庭があります。

その子が進学した高校は、学力的には高い学校ではありませんでしたが、あるとき「公務員になりたい」と言い出し、実際にそうなりました。本人の気持ちを尊重するほうが、力を発揮するという一例です。

もし保護者の方が「うちの子は何もわかっていないだろう」と思っていたら、その子は「自分は何もできない」としか思えません。

一方で、「あなたはきっと大丈夫、幸せになれる」という目で見ると、根拠のない自信が子どもには育ちます。失敗するかもしれないけれど、挑戦できる人になると思います。