意思決定の場にこそ女性が必要
【木下】ポーラは、女性社員比率7割、女性管理職比率3割、女性役員比率4割を達成されています。ダイバーシティ戦略や女性活躍推進が始まってから現在までの経緯を教えてください。
【及川】女性活躍推進がいつから始まったかは定かではないのですが、私が入社した30年前にはすでに女性管理職がいました。それでも、女性が普通に管理職試験を受けるようになり始めたのはおよそ10年前。当時は女性管理職比率も2割ほどでした。以降、数値目標を定めたのを機に少しずつ女性比率が高まってきましたが、課長になる人はいても部長にまで進む人は少ないなど、依然として課題は残っています。
【木下】化粧品業界は、顧客にも社員にも女性が多いかと思います。女性活躍が進んでいるのはそのおかげではないかという声もありますが、どのようにお考えでしょうか。
【及川】もともと女性が多い環境なのは、確かにその通りです。ただ、当社は女性社員が約半数いるなかで管理職は約3割で、決して十分な数字ではありません。さらに重視したいのは、社としての意思決定の場にどれだけ女性が入っているかという点です。世の消費者の半分は女性ですから、企業は当然、経営戦略の中に女性の視点を入れていくべきでしょう。
ただ、この実現にはまだ乗り越えなくてはならない壁が多くあり、化粧品業界も例外ではありません。しかし、私たちは化粧品会社だからこそ、女性の可能性や意思決定権を持たせることの意義を、率先して世に証明していく必要があると思っています。