日本企業で女性がリーダーとして成長するには、まださまざまな壁が存在しています。“女性ならではの強みを生かしたリーダー”とは、どんなリーダーなのでしょうか。ポーラ取締役執行役員・及川美紀さんは、ポーラ一筋のキャリアの中で、さまざまな組織改革を成功させてきた、きめ細やかな戦略思考とコミュニケーション力を兼ね備えたリーダーです。チームメンバーのモチベーションを引き上げ、目指す成果を生み出すためにはどうすればよいのでしょうか。いくつもの失敗を乗り越えて身につけた、リーダーとしての心構えを語っていただきました。

(※本稿は、2019年5月17日、しなやかに情熱を持って働く女性たちのための交流会「PRESIDENT WOMAN Salon」の第2弾「ポーラ取締役・及川美紀さんを迎えて」の内容から構成しています)

全国32事業所の中で30位のどん尻業績からスタート

ポーラ 取締役執行役員・及川美紀さん

私のキャリアが本格的にスタートしたのは、出向した埼玉の販売会社でのことでした。大学卒業後、奨学金を返すために「結婚出産でやめることなく、一生働き続けられそうだから」とポーラに入社。本社営業部に配属されましたが、1年後に隣の席の先輩と結婚すると、夫婦を同じ部署には置けないからと、私が出向を命じられたのです。

当時、入社直後の販売会社への出向は異例。本部で数年経験を積んだのちに現場に赴任するのが慣例でしたから。2年目の営業部でまずは成果をだそうと思っていたのでやる気をなくしかけましたが、出向先で働き始めてみると予想以上にやりがいがありました。でも、その頃は組織やリーダーについて考えたことはまったくありませんでしたね。考え始めたのは出向からおよそ10年後、出向先の埼玉のエリアマネージャー(総責任者)になってからです。

そのときの業績は全国32事業所の中で30位ぐらいでした。首都圏に近く恵まれた環境で、全国トップになってもおかしくないのに、なぜこんなに下なのか。私は、ここでようやく「自分たちが変わらなきゃいけない」と考え始めたのです。どうすれば変われるのか一生懸命考えて、まずは目指すゴールを決めることにしました。

すると、ゴールとは何か、つまり本当にやりたいことは何なのかと考えるようになりました。今月の売上といった目先の課題に振り回されるのでなく、3年後、5年後にどうなっていたいか、将来のビジョンを描くようになっていったのです。