もし、今の収入が10万円で、10%貯蓄すれば、1万円貯蓄することになります。120万円稼ぐ人が10%貯蓄すれば、12万円貯蓄することになります。収入が多いほど、パーセントの重みが増し、金額が増えて、貯蓄が難しくなります。

ですから、今から始めましょう。経済状況がいくら厳しくても、今ほど貯蓄が簡単なときは二度ときません。収入が少ないほど、貯蓄も楽だからです。手取りの10%の貯蓄を今すぐに始めましょう。

もし、両親と実家に住んでいるなら、今始めるのがベストです。支出が一番少ない時期だからです。もし出費があるとしても、実家から出た後の支出割合とは比べ物にならないくらい少額です。できる限り、実家にいる間に貯蓄しましょう。

経済的な習慣は収入が増えても変わらない

お金に対する基本的な態度は、自然に変わることはありません。「これが必要だ」という考えが、貯蓄を難しくします。

先に述べたように、必要出費と希望出費を勘違いしてはいけません。必要経費と思っている金額は、収入額に応じて増えます。

不必要な出費の一番の言い訳は「これが必要。どうしても」です。本当に必要なものはあまりありません。「どうしても」というのは、自分に対する言い訳です。経済的状況を良くするためには、自分自身を改善しなくてはなりません。

富豪は皆、倹約時期を過ごしていた

サー・ジョン・テンプルトンは19歳のときに、夫人と一緒に月収の50%を貯蓄し始めました。もらえるコミッションが少なかった月は、辛かったそうです。

彼は、世界で最も賢明で高く評価された投資家のひとりで、億万長者です。振り返ってみると、稼ぎが少なく、50%の貯蓄が難しかった頃が、富を手にする決定的な時期になったと言っています。

ウォーレン・バフェット氏=2015年4月17日(写真=USA International Trade Administration/Public domain/Wikimedia Commons)
ウォーレン・バフェット氏=2015年4月17日(写真=USA International Trade Administration/Public domain/Wikimedia Commons)

ウォーレン・バフェットは、アメリカで一番の資産家です。彼の資産はフォーブスで、1993年に170億ドルだと推定されています。どうやって、これほど裕福になったのでしょうか? 彼のお金を増やす法則は、貯蓄と投資。貯蓄し、投資する、貯蓄し、投資する、をくり返したのです。

彼は小さいころから新聞配達などの仕事をして、1ドルもムダにせず貯金をしました。お金は出費するためのものとは考えず、ほとんど何も買いませんでした。お金が生む将来の価値にしか、興味がなかったのです。

もちろん車も買いませんでした。購入に1万ドルかかるからではなく、「20年後にこの1万ドルはどれくらいの価値にできるか」と考えるから、お金を使わないのです。