「うまくいかないことは明日に回しましょう」

仕事や勉強をしているときに、なぜかうまくいかなかったり、どうしても調子が乗らなかったりすることは、だれしも経験があるでしょう。まじめな人ほど、「ここで休んではいけない。もっとがんばらねば」と思いがちです。

でも、そういうときは、それ以上がんばらずに、さっさと寝てしまったほうがいいんです。調子が乗らない状態で無理をしても、状況が改善する可能性は低いですから。カリフォルニア大学バークレー校の2018年発表の研究結果によれば、睡眠不足になると人が近寄ってくることを恐れ、孤立しやすくなるリスクが高まるそうです。これではチームワークもうまくいきませんね。

それに、睡眠をとると目覚めたときに仕事で行き詰っていた課題の新しいアイデアを思いついたり、どうしても理解できなかった公式がすんなり頭に入ってきたりしますよね。これは「レミニセンス(追憶)現象」とよばれているのですが、寝ている間に、脳が情報の整理を行ってくれた結果、起きていることなんです。

人間の脳が情報を整理整頓して記憶に定着させるには、睡眠が欠かせません。アメリカの精神医学者スティックゴールドが2000年に発表した研究結果によれば、新しい知識などを自分のものにするためには、それを覚えたその日のうちに6時間以上眠らなければならないそうです。

無理せずラクに成果を出すためにも、「その日できることは、その日のうちにやってしまおう」なんてこだわらず、ゆっくり眠って明日に備えましょう。

枕を抱えて眠る男性
写真=iStock.com/paulaphoto
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「苦労信仰から抜け出しましょう」

「若いうちはやりたくない仕事でも我慢して苦労したほうがいい」「我が子はお腹を痛めて出産するべき」など、世の中には謎のルールが存在します。

日本人には苦労した分だけ「どこかで報われるだろう」という淡い期待があるように思えます。でも、それにはなんの根拠もないんですよね。

人って、いまの自分にある程度満足していると、「これまでやってきた努力や苦労のおかげで、自分はうまくいったのだ」というサクセスストーリーに寄りかかりたくなっちゃうものなんだと思います。

たとえば、ある地区の営業マンの成績がいいと、「飛び込み営業が結果を出した」とか「毎日アポの電話を30件することが成果につながった」とか、わかりやすいストーリーとして語られたりします。

でも本当は、本人の苦労や努力と関係なく、単純に上司から割り当てられた地区のお客さんがお金に余裕がある人ばかりだった、というだけで成功したかもしれませんよね。もちろん、本当にその人の血のにじむような努力が実を結んだケースもあると思うのですが、じゃあ自分も同じくらいの努力をすれば同じくらいの成果が出せるかというと、そんなことはないわけです。

むしろ逆に、苦労してもそれが原因で卑屈になってしまう人もいると思います。最悪なのは、「自分たちがしてきた苦労は同じように経験するべき」と思って、他人にまで自分のした苦労を押しつけてしまうことです。

そんなことになるならば、ショートカットできる道を探したほうがいいですよね。せっかくテクノロジーが進化しているのだから、しなくていい苦労はどんどん断捨離していきましょう。