地球の内部は4つの層で構成され、地表から70キロの「地殻」の下に2890キロまで「マントル」があり、さらに5150キロまでの「外核」の内側に「内核」があると考えられてきた。しかしこのほど、内核の内側に新たな層が存在する可能性があることが明らかとなった。
内核は、主成分である鉄とニッケルからなる固体で、摂氏5000度を超える高温であると推定されている。内核を極方向(南北方向)に通過する地震波は、赤道方向(東西方向)を通過するものよりも速いことが知られ、これを「異方性」という。
地震波が内核を通過する時間に着目して、内核の構造モデルを調べた
オーストラリア国立大学(ANU)の研究チームは、地震波が内核を通過する時間に着目し、国際地震センター(ISC)が収集した観測データと検索アルゴリズムを用いて、数千ものパターンから観測データと適合する内核の構造モデルを調べた。その研究成果は、2020年12月7日に学術雑誌「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ」で発表されている。
これによると、地球の中心部から半径650キロ(地表から5710キロ)において、異方性の速い方向は地軸と平行に、遅い方向では54度傾いていることがわかった。鉄の構造に変化があり、地球の歴史で2度にわたって冷却イベントがあったことを示すものとみられている。
「地球の内部には、従来の4つの層とは別の層が存在するのではないか」との仮説は長年、議論されてきたが、これを裏付けるデータは乏しかった。
「教科書を書き換える必要があるかもしれない」
研究論文の筆頭著者でオーストラリア国立大学の博士課程に在籍するジョアンナ・スティーブンソン研究員は、一連の研究成果について「まだその多くが謎に包まれているものの、地球についての解明に役立つパズルのピースを加えることができた」とし、「とてもワクワクする。教科書を書き換える必要があるかもしれない」と述べている。