「課長職3年定年制」を設けた理由

④新入社員のトレンドに合わせて会社をつくり変える

多くの会社は、従来の会社のやり方に新入社員を合わせようとします。ですが、会社のやり方を押し付けられると、ストレスを感じて辞めてしまう。そこで、会社のフレームワークに新卒社員(内定者、就活生)をはめ込むのではなく、若者のトレンドに合わせて会社を少しずつつくり変えています。

残業削減の取り組みも、有休消化率向上の取り組みも、離職率を下げる一環です。

⑤入社1年以内に人事異動をする

個人と組織の特性や適性を診断するツール「エナジャイザー」の分析結果を見ると、2013年度までは、「同じことをやらせないと不安になり、ストレスを感じる」というトレンドでした。ところが、2014年度以降は真逆で、「今の若い人は、同じことをやり続けると不安になり、ストレスを感じやすい」ことが明らかになっています。そこで現在は、原則的に、「新卒社員は、1年以内に人事異動」をしています。過度なストレスをかけないためです。

また、わが社に、「課長職3年定年制」のルールがあります。嫌いな課長の下についても、「長くて3年で、あの課長は別の部署に異動になる」ことがわかっていれば、部下は辞めずに我慢できます。

コミュニケーションを活性化する仕組み

⑥半期に一度「ほぼ初対面の先輩」と飲む機会を設けている

毎月の面談のほかに、直属の上司と部下による「サシ飲み」や、ほぼ初対面の幹部社員と夢を語る「夢の共有」などを仕組み化しています。

・サシ飲み

上司は毎月、部下とマンツーマンで飲みに行く。ただし、同一人物と2カ月連続は不可とする。部下がひとりの場合は、3カ月に一度とする。

上司と部下の信頼関係が築けていない間は、「仕事の話は一切しない」のがサシ飲みのルール。2回に1回は「サシ食い」でもOK。したがって、最初は「プライベートの話を中心に自己開示する。自分との共通の話題が見つかると、お互いの距離感が近くなる。

・夢の共有

半期に1回。「夢の共有」では、部門の異なる幹部と一般社員がサシ飲みをする。他部門のベテラン幹部が夢を語ると、一般社員のモチベーションアップにつながる。直属の上司だと話せないことも、評価に関わらない別の部署の上司だと話すことができる。組み合わせは毎回変わる。

夢の共有は、一般社員の「昇格しても、どうなっていくのか具体的な姿が見えない」「上司には話しづらい相談がある」といった声を解決するために生まれました。一般社員だけが夢を語るのではなく、幹部社員も、「入社当時の夢」や、「これからの目標」を話すことで、一般社員に今後のライフプランを想像してもらうことができます。

夢の共有を行うと、部門・世代を超えた交流が図られ、社員間の円滑なコミュニケーションが実現します。直属の上司では聞くことができない部下の悩みを違う角度から解消できるため、若手社員の離職防止につながっています。