「軍隊より厳しい」と言われた上司のその後

最所雅哉と那須潤一も、「上司が嫌」で辞めかけています。このときも佐藤義昭が間に入って、退職防止に尽力しています。

辞表
写真=iStock.com/Wako Megumi
※写真はイメージです

「最所の上司は、飛山尚毅(当時課長・現本部長)。最所は、飛山のスパルタ教育についていけなかった。

飛山は、『部下は、追い込まれることでひと皮剝ける』と信じていました。ところが、厳しすぎる指導は、逆効果でした。部下から、『軍隊より厳しい』『ここはヤクザの事務所ですか?』『見ているだけで怖い』と、飛山に対する批判の声が集まった。

このときは、小山が飛山を経営サポート事業部に異動させました。部下は無しです。経営サポート事業部に異動したことで、飛山は、『自分の失敗』を振り返ることができるようになったと話しています。

那須潤一(現部長)は、今から10年ほど前、志村明男(当時課長・現本部長)の部下だったときに、『辞めてやる!』と言って事務所を飛び出したことがありました。なかなかやる気を見せない那須に対して、志村は『だったら、朝から晩まで床でも磨いていろ!』と命じた。那須も頑固もので、床を磨き続けました。2人の関係はどんどん険悪になっていき、あるとき那須が爆発。『ふざけるな! 辞めてやる!』と声を荒らげて飛び出していったのです。

那須の気持ちをたしかめようと、私が彼と面談をしましたが……、結論から言うと、私がしたことは『聞いてあげること』だけでした。那須も『自分が悪いところ』はきちんとわかっていました。『志村さんにも反省させるから、那須さんも反省してね』と言って手打ちです。

その後しばらくはよそよそしかったようですが(笑)、今ではお互いを認め合っています」(佐藤義昭)

社員が辞めるのは会社側に問題がある

会社を辞めるのは、本人の問題以上に、「会社や上司に非があるから」だと私は考えています。武蔵野では、「社員が辞めるのは会社側に問題がある」の認識を持って組織改革を行っています。その結果、社員の離職率は大幅に減少しました。

定着率が向上(離職率が減少)した理由は、人間の心理をベースに、「仕事」が嫌にならない仕組み、「上司」が嫌にならない仕組み、「会社」が嫌にならない仕組みをつくり、巧みに運用しているからです。