和歌山が地盤の二階氏は「大阪万博」に期待大

一方、和歌山が地盤の二階氏もIR誘致に加え、大阪万博の実施を確実にするために「万博担当相」を菅政権に置いた。大阪万博が盛り上がれば、二階氏の地盤である和歌山にも恩恵が見込めるほか、「二階氏の作品」とも呼ばれる関西国際空港へのインバウンド復活も見込める。

しかし、こうした自民党・菅-二階両氏の「族議員」による業界への肩入れや、政府による業界振興は「業界が自ら業績拡大に取り組む主体的な姿勢を退化させた」(大手証券アナリスト)との指摘も出ている。

菅首相は官房長官時代に、外国人観光客の誘致に向けて世界の一流ホテルを国内に50カ所設ける考えを表明していた。その財源として財政投融資を活用して、国内で多くの消費活動が見込める海外富裕層を呼び込みやすい環境を整えるというプランを打ち出していたが、ものの見事にコロナウイルスがこれを打ち砕いた。

店舗販売にこだわるばかりに対応が後手に

今や、特に旅行代理店は楽天やエイチ・アイ・エス、海外勢の台頭でネット販売が主流になっている。それなのに、JTBなど自民党・菅-二階ラインの「族議員」にすがってきた業者、店舗販売にこだわるばかりに対応が後手に回った。実際、コロナウイルス感染拡大の前から業績は低迷していた。

ホテル業界も米エアビーアンドビーなど民泊が世界的に広がる中で、海外からの旅行者を締め出すように規制をかけ、民泊の普及を食い止めるような保護主義を敷いてきた。

相乗りや配車サービスのライドシェアにも消極的なのはタクシー業界を守るためだ。

世界に誇れる「おもてなし」の文化がありながら、その資産を産業として引き上げられない日本の運輸・観光業。政治頼みの姿勢からはいつまでたっても新たな境地は開けない。

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