共同研究による特許のうち、複数の国の個人または企業による国際共同研究によるものの割合は、世界全体では増加傾向にあります。世界の共同研究による特許のうち国際共同研究によるもののシェアは1991年の約15%から2010年の約34%まで増加しています。

2010年で見ると、アメリカ、中国、ドイツ、フランスではいずれも50%を超えており、欧米諸国および中国では活発に国際共同研究が行われていることがわかります。しかし、日本と韓国はともに10%余りで、両国における国際共同研究は低調です。

この傾向は、共同研究のネットワークを図示するとはっきりします。図表3は、全世界の特許データを使って、共同研究ネットワークを図示したものです。一つひとつの小さな点が一つの企業を、企業を結ぶ線が共同研究関係を表します。

この図からは、日本と韓国の企業は自国内での共同研究が中心で、他国の企業との共同研究をあまり行っていないことがわかります。半面、アメリカを中心として、ヨーロッパ企業、そして中国企業は大きな一つのかたまりをなしていて、これらの国同士は共同研究を積極的に行っているのです。その結果、日本のイノベーションを生み出す力、技術革新力は他国とくらべて衰退してきています。

韓国と日本
写真=iStock.com/PhoThoughts
※写真はイメージです

日本の「特許の質」は2003年がピークだった

ただ、技術革新力は単純に特許の数だけでは測れません。数だけだと質を考慮していないからです。特許の質を測るのに、特許の引用数がよく使われます。ある特許がたくさん引用されている場合、その特許が他のさまざまな特許(発明)の源泉となったということですから、質の高い発明だったといえるわけです。

一つの特許当たりの平均被引用数を各国別に見たのが図表4です。ここでは、全世界の特許一つ当たりの平均被引用数が一となるように標準化しています(昔の特許ほど、引用される機会は多くなりますから、各国の比較をするためにこのような標準化を行います)。

これを見ると、日本では2003年までは特許の質が上昇傾向にあり、最盛期には世界のトップをキープしているアメリカに迫っていましたが、それ以降は下降している、つまり技術革新力が衰えていることがわかります。2010年にはドイツや韓国と同レベルになっています。

文部科学省科学技術・学術政策研究所が出した『科学技術指標2020』では、より迅速に引用が行われることの多い学術論文を対象に、被引用数の国際比較を直近の期間まで行っています。それによると、被引用数がトップ10%と世界的に注目度の高い学術論文の数で見て、日本は1996~1998年には米英独に次いで世界第4位だったものが、2006~2008年には中仏加に抜かれて第7位、2016~2018年には第11位にまで下がっています。

国際共同研究による「特許の質」の向上は国内共同研究の3倍

このような日本の技術革新力の低下の一つの原因は、国際共同研究が少なく、海外からの知識の流入が十分ではないことだと考えられます。

われわれの研究では、国際共同研究を行うことで、企業の特許の質は平均的に36%高くなることが示されています。それに対して国内共同研究は13%しか向上しません。国際共同研究のほうが 国内共同研究よりもはるかに大きな効果があるのです。