三菱グループの「長兄」は次の150年間も生き残れるのか

環境政策では欧州連合(EU)の欧州委員会が7月、「水素戦略」を発表。2030年までに、水素生成の水電解装置に最大420億ユーロ(約5兆2000億円)、同装置と太陽光発電・風力発電との接続に最大3400億ユーロ(約42兆円)を投じる計画を打ち出した。すでに普及する洋上風力などで生まれた電気を使って水を電気分解し、水素を生成する。生成過程でもCO2を出さない「100%純粋」の水素生産構想を掲げる。

三菱重工もLNG(液化天然ガス)火力発電所を水素発電所に改修しながら水素の活用の拡大に乗り出しているが、「再生エネから水素を作れる欧州と違って水素の生成にコストがかかる」(大手証券アナリスト)ため、競争力が保てるか、懸念が残る。

再生エネへは大手石油メジャーである英BPや米エクソン・モービルなど異業種も名乗りを上げ「資金力の差が競争力の差となる」(同)心配もある。

八方ふさがりの三菱重工。今年、創業150周年を迎えた三菱グループの「長兄」は次の150年間も生き残れるのか。正念場を迎えている。

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