露出の多いウエアを着ている女性選手が悪いのか?

そもそも女子選手たちはカメラで狙われやすいのに、なぜセパレート型のユニフォームを着ているのか? その最大の理由は、「動きやすさ」を追求しているからだ。従来のランシャツ&ランパンでは、ダイナミックな動きをする種目ではランパンに入れていたランシャツが出てしまうこともある。動きやすくて、競技に集中できるウエアを選んでいるわけだ。

普段の練習ではさほど着用しないかたちのウエアを着ることで、気持ちが引き締まるというメンタル面も大きい。そして、暑いときは「セパレートのほうが涼しい」という利点もある。

白人女性の陸上競技選手
※写真はイメージです(写真=iStock.com/OSTILL)

陸上競技は0秒01や1cmを争うため、僅かな「感覚の差」が結果に大きく影響することもある。アスリートがセパレート型のユニフォームを着用するのは自然な流れといえるだろう。

競泳の場合、以前はハイカット水着が主流だった。それは速さを求めたかたちだ。しかし、近年は膝上まで生地が覆われているオールインワン水着のほうが浮力を得られるため、女子選手の肌露出は少なくなった。これもパフォーマンスを重視した流れになる。

長年陸上競技を取材していると、セパレートのウエアに性的なものを感じることはない。しかし、競技を見慣れていない人たちにすれば、刺激的な服装に映るのだろう。日焼けしてない部分があらわになっているのも、彼らの気持ちをあおっているのかもしれない。

公道を走る駅伝は無法地帯「どこを撮られているかわからない」

Aさんは駅伝にも出場していたが、競技場で行われる大会よりも、沿道で行われるレースのほうが“恐怖”を感じることが多かったという。

「駅伝の場合は公道なので無法地帯です。走っているときは気にならないですけど、レースが終わった後にカメラを向けらえるのがすごく嫌でしたね。見られている意識はあるので、キャップを深くかぶるんですけど、どこを撮られているのかはよくわかりませんし……」

ただAさんが所属していたチームは選手が競技に集中できるように、ファンからの声かけを制止するなど、大会期間中は「芸能人とマネジャー」のような関係だったという。徹底的にガードされていたにもかかわらず、多くの写真が雑誌やネットに“流出”した。