ノイズ③ 思考停止ノイズ

【ノイズの症状あるある】
・欲しい洋服があるのに、迷っているうちに売れてしまった
・レストランでメニューを決められなくて、友だちにイライラされる
・「海外旅行に行きたい!」と毎年思うのに、いつまでも行けないでいる
・いつも思考が堂々巡りして、考えると疲れる、結論が出せない
・長年、ダイエットのことばかり考えているのに、まったく痩せない
・「君はどうするのがいい?」と意見を求められると、毎回答えに窮する

決めるのに時間がかかる、いつまで経っても決められない、優柔不断でチャンスを逃しがち。いつもグズグズしてばかりいる自分を発見すると、イヤになりますよね。

小さなこともなかなか決められないのだから、結婚や転職、起業などといった大きな決断は、なおさら無理。なんでもパパッと決める人が身近にいると、自分のダメさ加減がさらに気になってしまうかもしれません。

決めるのが苦手な人にあるのは、「思考停止ノイズ」です。

決断力がないのではなく、「自分が考えたり決めたりしないほうが、うまくいく」と思い込んでいるタイプです。このノイズは、なんでも他人が決めてくれる環境で育つとつくられます。

「ハンバーグよりエビフライのほうがおいしいよ」
「黄色よりピンクのほうがかわいいよ」

そんなふうに、自分はこっちのほうがいいんだけどなあと思っているのに、過保護・過干渉の親やまわりに、なかば強制的に決められる経験が多くなると、「自分は考えないほうがいいんだ」と思うようになり、自分で考えないクセがつきます。

また、大人同士が話し合っているところに混ざっていって「あっち行ってなさい」「子どもはいいの」と追い返されたりすると、「自分の意見は大事じゃないんだ」「考えなくていいんだ」というノイズは、さらに大きくなります。

思考停止ノイズの怖さ

思考停止ノイズは、とても怖いノイズです。自分で考えない心のクセがついてしまっているので、影響力の強いもの(マスコミの大げさな報道、著名人や政治家の発言、世間・大衆のムード)に、自分が簡単に流されてしまいます。

自分の思考を取り戻すためには、なにか情報を目にしたとき、耳にしたときに、一旦すべてを疑ってみる、ちょっとイヤな奴になってみましょう。疑うためには自分の思考を使わなければならないので、ノイズを小さくしていくのに効果的です。

山根 洋士(やまね・ひろし)
心理カウンセラー

心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラー(心理カウンセラー)。一般社団法人メンタルノイズ心理学協会チェアマン(会長)。大阪府出身。早稲田大学中退。両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経て、情報誌編集者からノンフィクションライターとして独立。心理療法を学び、カウンセラーになる。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』、『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのスゴイ「聞く技術」』(いずれもアスコム)などがある。