5 「ないものねだり」ではなく「あるもの感謝」を

「もっと理解のある上司だったらいいのに」「もっとルックスがよかったらいいのに」……、前回もお話ししましたが「ないものねだり」は、自分のないものに注目して、自分自身を否定してしまう行為。自己肯定感を下げる大きな原因になります。

そうではなく、今あるものに感謝して過ごすこと。「自分はこれで大丈夫」「これでいいんだ」と満たされる気持ちが、自己肯定感をアップさせてくれます。

なかでも身近な「衣食住」に感謝することは、とても大切です。ぜいたくとまではいかなくても、今日着る洋服があって、食べるものがあって、住むところがある。当たり前の環境も改めて考えてみると、すごく恵まれていることなのです。

そういうことに感謝していくと、通勤ひとつとっても、電車を運転する人がいるから時間通りに会社に行けるし、食べ物があるのもスーパーの店員さんがいるから買える。自分の人生は、たくさんの人に支えてもらっていること、そしてこのままでも十分に満たされていることに気づき、これ以上、上を目指す自分は違うのではないか、今の自分で大丈夫なのではないかと思えます。

こうした5つのことを毎日意識して取り組むうちに、3カ月ごろから自分が変わるのが実感できるはずです。ぜひ実践してみてください。

構成=池田純子 写真=iStock.com

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務