日本女性はPTA活動に時間を費やしている場合なのか

その「チマチマ」の代表例として、子どもが公立の学校に通っている場合、女性が避けて通れない問題。それはPTAです。Parent-Teacher Associationの横文字通り、もともとは戦後にアメリカ合衆国(米国教育使節団報告書)から入ってきたもので、教育を通じて日本の民主化の後押しになるようにと導入されましたが、70年以上経った今、それは……ニッポンの女性の足を引っ張るものと化しています。

こういうことを言うと、「そんなことはない! 自分はPTAをやって良かったと思う」という反論が来るのですが、PTAにも良い面があることは否定しません。ただ、「2019年男女平等世界ランキング」でニッポンが153カ国中121位になった悲惨な結果を前に、女性たちは果たしてPTA活動に自分のエネルギーと時間を費やしている場合なのか、という話です。

というのも、PTA活動は女親、つまり母親がやることが暗黙の了解になっています。Parent-Teacher Associationの名の通り、本当は父親が参加しても良いわけですが、慣習的なもので「そこはやはり母親が……」というプレッシャーがニッポンのPTAにはあるのでした。60年代や70年代の専業主婦が多かった頃の日本ならともかく、今は働くお母さんが増えています。それなのにPTAには相変わらず「やっぱり母親が……」という文化が残っているといいます。

「専業主婦時代」の名残が今も……

専業主婦が多かった時代の名残で、PTAの会合は多くが「平日の昼間」にひらかれます。しかし働くお母さん全員が「時間に融通の利く仕事」をしているわけではありません。そこで会社員として働くお母さんは苦しい立場に立たされるわけです。ニッポンの会社に勤めた経験のある人なら分かると思いますが、有休なるものが紙(つまりは契約上)の上では存在しても、現実には「取りづらい」雰囲気の職場は少なくありません。

契約上の有休は全部使い切るヨーロッパ人とは違い、日本人が有休を完全消化することはまれです。たとえばドイツでは病欠は有休から引かれず別枠であるため、ドイツ人は有休は基本的に長期の旅行などのために全て使い切ります。

しかし日本だと有休は「イザという時のために」残しておく人が多いです。たとえば病気や風邪、家庭の事情等で休まざるを得ない時のことを考え、それらの日数を有休に振り替えることができるように「取っておく」というのが日本では割と当たり前です。

そうした中で、働くお母さんは「平日に行われるPTA活動のため有休を使わざるを得ない」という理不尽なことが起きています。たとえ数週間に1度の会合だとしても、それが1年にわたって続けば、有休のほとんどをPTA活動のために使ってしまった、ということになりかねません。

私の知り合いの女性は、ある年のPTA活動があまりにも忙しく、有休はほぼ全部をPTAに使ったため、その年は家族旅行にも行けなかったとのことです。本来は「子どものため」であるはずのPTA活動のせいで、「家族との時間が取れない」ような事態は本末転倒と言わざるを得ません。