PTAはキャリア女性の足を引っ張る体育会系の組織

何年か前に政府が「女性が輝く社会」というキャッチフレーズを掲げたことがありましたが、PTAは確実に仕事に打ち込む女性の足を引っ張っています。どの国でも、女性の社会進出は、女性の「仕事以外の部分」をなるべくシンプルにすることで成功しますが、女性をPTA活動に駆り出すのはその真逆です。

サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)
サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)

そんな疲労する女性に対して、PTAは任意であるはずなのに、「参加は母親として当たり前」という無言のプレッシャーをかけたり、PTAの役員を引き受けたくない女性に対して「引き受けたくない理由」を述べることを求めたり、挙句の果てにはそれに対して「イチャモン」をつけるというのが日常化しているといいます。「小さい子どもがいるというのは役員を引き受けない理由にはならない」とか、「仕事が忙しいのはみんな同じ」と言われてしまうのです。

仕事も育児も家事も頑張っている女性に対して、さらに「それらのことは役員をしない理由にならない」と追い打ちをかけるのが、PTAというまさに「体育会系」の組織なのでした。

会長は男性で面倒なことは女性という分担

PTAは体育会系とは無関係だと思われるかもしれませんが、そうではありません。そこには「女だったら、仕事があったって、介護があったって、小さな子どもがいたって、PTAぐらいできるでしょ!」というワケの分からない精神論が幅を利かせています。

さらに腹立たしいのは、女性に参加を求めるくせに、会長など「上のほうのポジション」になると、そこのポストだけ「男性」で埋まっていたりすることです。私の友達の女性は、「PTAってなんだか昭和の会社みたいなのよ。『上のほう』のポジションは男性で埋め尽くされているのに、下っ端の現場は女ばかりで、面倒なことは全部女に任せている感じ」と嘆いていました。

その代表的なものがベルマーク運動です。もともとは「財団法人教育設備助成会」という名前で、当時の文部省が認可して設立されました。戦後の貧困の中、日本の僻地の教師が全国の新聞に学校の劣悪な状況を訴え、設備を整える費用の援助を呼び掛けることを発端としたのがベルマークです。発想自体は「貧しい子達にも教育を」という素晴らしいものでした。