「銀証融合モデルを、日興を通じて実践する」。10月1日、三井住友銀行の奥正之頭取はこう挨拶した。日興コーディアル証券は三井住友フィナンシャルグループの子会社として営業を開始。国内初となる「メガバンクと証券大手の統合」が実現した。
銀証融合といえば米国の巨大銀行群がその先例だ。かつて米銀行はグラス・スティーガル法(1933年成立)によって証券業務の禁止、つまり「銀証分離」を行ってきたが、規制緩和の末、99年には銀証分離条項が廃止。その後大手行や投資銀行は合併・吸収を繰り返して巨大化したのである。
日本も欧米の動きに追随し、93年の金融制度改革によって銀証の相互参入が解禁。現在では三菱UFJグループには三菱UFJ証券(旧三菱証券と旧UFJつばさ証券)、みずほグループにはみずほ証券(旧みずほ証券と旧新光証券)がある。今回、三井住友グループが日興コーディアル証券を買収したのも同様の流れだ。
とはいえ、もともと銀行と証券会社ではカルチャーが異なる。「証券会社は銀行に対する忠誠心もないし、言うことを聞かない」と金融関係者は話す。三井住友グループは98年から大和証券グループと提携関係にあったが、結局大和はグループから離脱した。
さらに問題視されているのはリスク管理体制だ。モデルとなってきた欧米の金融グループが、肥大化の末、リーマン・ショックを引き起こし、今では逆に傘下証券会社を切り離しつつある。一足遅れた銀証融合は吉と出るか凶と出るか。