これから世界はどう変わっていくのか。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「ポストコロナの時代に、資本主義は第4ステージ(「資本主義4.0」)に入る。この資本主義4.0と日本の資本主義は親和性が高い。日本は圧倒的に有利だ」と指摘する――。

※本稿は、熊谷亮丸著『ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?』(日経BP)の一部を加筆・再編集したものです。

マンハッタン
写真=iStock.com/NicoElNino
ポストコロナ時代は、前世紀後半から続いてきた「新自由主義・グローバル資本主義」が後退し、「資本主義4.0」がはじまるーー。※写真はイメージです

8つのグローバルな構造変化が起きる

筆者は、人類の感染症との闘いは長期化することに加えて、ポストコロナの時代は、それ以前と全く異なる世の中に変わると考えている。

ポストコロナの時代は、

①「グローバル資本主義」からSDGsを中心に据えた「ステークホルダー資本主義」への転換
②格差拡大を受けた、反グローバリズム・ナショナリズム台頭のリスク
③米中対立が激化し、「資本主義vs共産主義」の最終戦争へ
④グローバル・サプライチェーンの再構築
⑤不良債権問題が深刻化し、潜在成長率が低下
⑥財政収支が軒並み悪化し、財政政策と金融政策が融合に向かう
⑦リモート社会(非接触型社会)が到来し、企業の「新陳代謝」が重要となる
⑧中央集権型から分散型ネットワークへの転換

という8つのグローバルな構造変化が起きると予想している。すなわち、「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる全く新しい世界が始まるのだ。以下では、この「8つのグローバルな構造変化」の中身と対応策をピックアップして見ていくことにする。