店頭サンプルより
建墓3~5年経過した実物を見るべし!

墓石の値段は、石材の品質と希少性で決まる。かつては国産の石材でほとんど賄われていたが、海外から廉価な石材が輸入されるようになり、国産品は激減。今や原産地は中国を中心にインド、南アフリカ、ヨーロッパなどで占め、加工の8割は人件費が割安な中国で行われているのが現状だ。

よいと思う墓石の材質は?

よいと思う墓石の材質は?

石材の種類は硬質の御影石が主流で、中国で加工された墓石の値段は、標準サイズの八寸角(一寸=約3センチ)で50万~80万円程度が相場(関東圏の場合)といえる。国産品も多種類あるが、比較すると価格は高額。たとえば御影石の最高級品、香川県の庵治石は、品質、希少性に加え、加工が難しい石ということもあり、八寸角で1000万円以上することもある。

墓石の購入にあたって石を選ぶ際は、まず実物を見て確認すること。それも店頭のサンプル品ではなく、店で「過去に建てたお墓を見せてほしい」と頼み、墓地の雨風にさらされた墓石の現物をチェックする。建墓3~5年が経過したものは、石によって錆びたり欠けたりと劣化しやすいものもある。石の種類によって変化の度合いがわかり、見比べれば、どういう石がどのように色や形状が変化していくか、おおよその見当がつくようになる。

墓石の購入価格は?

墓石の購入価格は?

加工技術も確認しておきたい。石には「カサネ」といって、石の内部に層がある。技術力が低いと、除くべきカサネが墓石に残り、時間を経るとヒビ割れてしまったり、ひどい場合には真っ二つに割れてしまうこともある。

また、色が美しいからとか個性的だからといって、新種の石材に飛びつくのは考えもの。石がどう劣化・変色していくのか、実はプロにも判断がつかないからだ。なるべく手を出さないほうが無難だろう。

希望に合った石が見つかっても即決は避けたい。複数の石材店に、デザインや加工代も含んだ見積もりと、完成設計図を頼んで比較検討するのが鉄則。その際、「2~3の石材店に話を聞いてから決めたい」と伝えれば、相見積もりが前提になるので、ある程度きっちりした金額を出してくれるはずだ。

また、見積もりは通常、設計図に家名や念仏、題目が刻まれる竿石の寸法が記されるだけで、台座等のそれは記されないことが多い。サイズも業者によってまちまちなので、きちんと設計図に記入してもらう。このほか、墓本体の周辺に備えられる墓誌、灯籠、物置台や外柵などの費用や工事費、彫刻料についても、見積もりに総額が記載されているかどうか要チェックとなる。

最近では店を構えないフリーの石材ブローカーも増えている。購入に当たっては疑問点を十分に質問し、専門家として具体的な答えがきちんと返ってくるかどうかシビアに見極める。とくに異常なほど営業をかけてくる、購入を急かす、即決を迫るような業者には要注意。こうした業者に粗悪品をつかまされ、トラブルになるケースが後を絶たないからだ。

(構成=野崎稚恵)