ADEと重症化の関連性は、ウイルス撃退の鍵になる

ADEが欧米の新型コロナウイルス患者の死亡率を高めたことがわかったため、ADEを手がかりに、今後どんな患者に重症化のリスクがあるかが推定できる。妊婦、妊婦から抗体を受け取る新生児、免疫系の発達が未熟な幼児、そして免疫系が衰えた高齢者だ。

なお、ADEによりウイルスが細胞に侵入した場合、細胞の外にあるウイルスを測定するだけでは体全体のウイルス量はわからない。ヨーロッパでは、ウイルス量が低下していたにもかかわらず重症化した患者が報告されている。

また、昨今免疫パスポートのための抗体検査の導入が世界で叫ばれている。新型コロナウイルスなど無症状感染が多く蔓延している場合、誰が感染して誰が感染していないかの鑑別が難しい。しばしば陽性と陰性の境界値(カットオフ値)を決定することが困難であり、カットオフ値を高く設定しすぎていると、感染の既往があったとしても、多くは陰性を示してしまう場合があることにも言及している。

また、特にK型に感染した人は、T細胞免疫が誘導され、G型の感染を予防する。その場合は、G型ウイルスが体内に入りこめないため、むしろG型の抗体はできない可能性が高いという。