5.自分の仕事のFAQ集ができる

ほかにも人がいるのに、なぜかあなたにばかり質問が集中することはありませんか? 忙しく過ごしていると「なんで自分ばかり」「自分でググれ」などと思ってしまうかもしれませんが、繰り返し聞かれることは、「誰もが知りたいけど、なかなか答えにたどり着けないから、答えを知っているあなたに質問してくる」ことなのかもしれません。

池田千恵『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(日本実業出版社)
池田千恵『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(日本実業出版社)

つまり、この類の質問には、あなただからこそできる価値が潜んでいることが多いのです。タスク化で何をしているかを明らかにしていくことは自分の仕事について自分で「FAQ集(よく聞かれる質問集)」をまとめてみるようなものです。「いつも同じ質問だ」とうんざりしてしまう仕事の中に、自分「ならでは」の問題解決の「宝」が潜んでいると思えば、それだけで仕事もちょっと楽しいものになりませんか?

「朝1時間」でタスクリストを作ることは、自分が無意識にしていることを言語化する作業です。言語化することができれば自分がどのようにスキルを身につけてきたかを棚卸しし相手にきちんと分かってもらえるように言語化しそれを誰にでもできる形で標準化・体系化することにつながります。

体系化できればほかの人に任せることができ、相手に喜ばれて自分もラクになります。また、「教えよう」の視点で物事を見ると、コミュニケーションの取り方も変わるし日々の仕事について楽しみも見いだせるようになります。

6.すべき残業とやめるべき残業の違いが分かる

タスク分けをしておくと、できた/できなかったが明確になるため、見積もりの甘さも見えてきます。たとえば「残業」と一言で言っても、「やむを得ない残業」と「自分の工夫で防げたはずの残業」の二種類あります。タスク化して作業を振り返れば、「自分の工夫で防げたはずの残業」が明らかになり、削減のための方策を練ることができます。

こんな経験はありませんか。クライアントや上司から企画書作成の指示を受けたとき、その内容を完全に把握せず請け負ってしまったため質問ができなかった。案の定作業中に確認しないと分からないことが出てきてしまった。でも確認したい相手は会議や外出でなかなか戻ってこず、結局チェックしてもらうまでに3時間待ってしまった……。

これは指示を受けた時点で不明点を確認していれば防げたはずの残業です。タスク分けをしっかり済ませておけば、企画書作成というタスクには指示内容の確認・作成・成果物のチェックなども含まれることがあらかじめ分かるので、ムダな残業の改善に取り組むことができます。

自分の残業だけでなく、上司の残業理由も観察して、「自分ならどう改善する」と考えられるようになれば「やむを得ない残業」にモヤモヤすることもなくなります。