3.自分の作業見積もりができるようになる
残業時間削減や生産性の向上、リモートワークの推進など「働き方改革」のニュースが話題になっています。生産性を向上させ、残業を減らすにはどうしたらいいかが論点となっていますが、私は生産性向上のキモは「それぞれの仕事の〝当たり前〟の見える化と共有」だと考えています。
作業を自分ひとりで抱えてしまう、見積もりが甘い、仕事をひとつひとつ丁寧に終わらせないと気が済まないなど、残業問題は一般的に性格の問題と片づけられがちです。
「見積もりの、どこがどう甘いのか」「丁寧すぎるところとちょうどいいところの見極めはどうしたらよいのか」などの具体的なことは、人と比較しないままだと曖昧になってしまいます。
ひとくくりに「メール作成」「資料準備」といっても、人によって手順は様々です。
仕事が速く正確な人の行動=当たり前が共有化され、シェアできる環境をつくることができれば、生産性は劇的に高まります。
仕事が雑で悩んでいる人も、なんとなくこなしている仕事を「見える化」できれば、仕事ができる人と比べることができます。比べれば、どこが抜けると雑になるかも分かるようになります。先輩や仕事ができる人に「私はこのように仕事をすすめているのですが、先輩はどのようにしていますか? と具体的に質問ができれば、的確なアドバイスも受けられます。その結果、自分の作業を正確に見積もれるようになるのです。
4.仕事を抱え込まなくなる
管理職候補に向けての講演で、参加者の一人からこんな悩みを聞きました。「うちの上司は、アイデアを出すと『いいね! じゃあやって!』と、すぐに任せてくれます。それはありがたいのですが、いまの状態でもパツパツなのに、その上で新しいプロジェクトをスタートさせるのは無理です……」。
ちなみにこの悩みを打ち明けてくれたのは、ベテランで仕事も速く、思いやりや責任感もあり周囲からの信頼も厚い方でした。「仕事は忙しい人に頼め」とはよく聞く話ですが、優秀であればあるほど、どんどん仕事を任せられ、うまく回してしまうからこそ、また仕事が降ってくる──。やりがいがある反面、心理的負担も大きいことでしょう。
ここで盲点となるのが、仕事ができる人ほど、自分の作業プロセスを、実はよく分かっていないことが多いことです。
なんとなくできてしまうから、手順をわざわざ数えたり書き出したりするのがまどろっこしく感じ「説明するくらいなら自分がやったほうが速い」とばかりにまとめて引き受けてしまいがちです。
結果、雪だるま式に仕事が増え、いつまでも仕事を抱えてしまうことになります。
できるからとキャパ以上の仕事を受けて「ひとりブラック企業」にならないためにも、タスク化は重要です。すべきことを分解して、ここはできるけれど、それ以外は助けて、と言えるところまできちんと考えれば、実は「そんなに大変ではなかった」と感じる仕事も多いのです。