新型コロナウイルスの封じ込め策が、社会・経済に重大な影響を与えつつある。経済学者の戸堂康之氏は「たとえば2カ月休校で子供の将来の所得は1.5%程度下がる。政府は感染拡大防止だけではなく、もっと広く長期的な社会・経済への影響についても目配りしてほしい」という——。

コロナ感染を防ぐために国民総所得は1人23万円減少

新型コロナウイルスの感染拡大防止による経済的な影響は甚大である。外出自粛要請にともない休業を自主的に決める企業も多く、事業継続中の企業でも出勤が規制されて生産が滞っている。

最近発表されたIMFの予想では、2020年の日本のGDP(国内総生産)成長率はマイナス5.2%となっている。つまり2019年にくらべて国民の総所得が29兆円、1人当たりでは23万円減少することになる。コロナの影響は長引くことも予想されており、2021年にも引き続きマイナス成長となる可能性も十分ある。

2020年の各国実質GDP成長率予測(%)
出所:IMF, World Economic Outlook, April 2020.

ここまで経済を大幅に縮小させてでも強い規制をかけるのは、感染を防ぎ、命を守るためには当然のことのように思われる。命さえ守れば経済はいつでも取り戻せるという話もよく耳にする。しかし、経済はさまざまなルートで命に直結している。