「貧乏人は食うモノも食えないから骨と皮だけ」というのは昔の話。いまは所得の低い人ほど肥満しているという事実を描いた『貧困肥満-新格差社会の到来』を上梓した。日本も世界的な経済危機の影響を受け、階層格差はますます広がっている。それに伴い、下流の体重も増加の一途を辿っているのは間違いない。
なぜ下流ほど太るのか。原因として考えられるのは、ファストフードやコンビニ食などの食べ物には原価を安く抑えるため、安いパーム油や高果糖コーンシロップという甘味料が使われているからだが、これが肥満を誘発するのである。
さらに下流の人たちは働くことだけでなく、「生きること」への意欲が低いというのが、私の持論だ。一言でいえば、彼らは「面倒くさがり」。だから運動も嫌いだし、自分で料理をしなくてすむインスタントやレトルト食品をよく食べる。私の調査では、彼らはおにぎりやスナック菓子など、インターネットやゲームをしながら片手で食べられるようなものを好む。つまり箸やフォークのような道具を使うことすら、面倒くさいのである。
「弁当男子」を見習い、メタボ父さんも台所に
いまの社会は、人任せにする部分が多ければ多いほど太る。歩かないで車に乗るとか、自分で料理せずに出来合いのものを食べていると、どんどん太っていく。
下流に転落するのがイヤなら、自分の「弁当男子」を見習い、メタボ父さんも台所に手を動かして、手間暇かけた生活をすることだ。たとえば下流の人たちが好む食物は、食品としての原型をとどめていない。そのいい例が冷凍のハンバーグやギョーザだ。しかし自分で肉や野菜など食品の原型を買ってきてハンバーグをつくれば、怪しげな添加物の入るスキはない。それを人任せにしていると、安い材料でも味にコクを出すことができる人工甘味料や油がたっぷり入ったハイカロリーのハンバーグを食べるはめになる。