自ら手を挙げた部門横断チーム

もう一つ、ニューミン誕生の背景には、大きな目的がありました。それは、顧客層の「若返り」を目指すこと。

従来、西川の中心顧客は50代以上で、上の世代の女性層に偏っていました。長年にわたるファンが、年齢を重ねて高齢化するという、老舗ならではの悩みですよね。

そこで18年12月、「新たな女性顧客(若い層)をつかもう」と会社が音頭を取ってスタートしたのが、「女性顧客創造プロジェクト」。

メンバーは、全員が「やりたい」とみずから手を挙げた人のみ。所属は、デザイン企画室から本部の販促関連、商品管理、人事総務部などさまざまでした。森さん自身も含め、20~30代後半の女性たちが集まったそうです。

彼女たちがまず行ったのは、「自分も含めた働く女性は、何に悩み、何を欲しているのか」に関する、徹底したブレストでした。

自分たちの悩みから出たキーワード

初めは、「肌を手入れしたいけど、時間がない」や、「風呂上がりに肌パックやストレッチをしなきゃと分かっていても、面倒で続かない」など、寝具とは直接関係がないことも含めて、忌憚きたんのない意見を語り合ったそう。

自分たちや同世代の「リアルな悩み」を吐き出すうち、やがてメンバーから声があがりました。「忙しいからこそ、眠っているうちにキレイになれたらうれしいよね!」

ニューミンブランドの商品は、枕以外にタオルやピローケース、アロマなど多岐にわたる。
ニューミンブランドの商品は、枕以外にタオルやピローケース、アロマなど多岐にわたる。(画像提供=西川)

そこから生まれたキーワードが、先の「美容睡眠」。ここをゴールに、今度は美容睡眠につながるアイテムを、次々と発想していったと言います。

たとえば、女性は寝るまでの間に、顔にパックをしたり、美容液を丁寧に塗ったりと、ある程度のお金や時間をかけるケースも多い。にもかかわらず、洗顔後に顔を拭くのは、十数年も使い古した、ゴワゴワのタオルだったりもする。

また、せっかく肌のケアをして「さあ、寝よう」となった後、その顔(肌)をつけて7時間程度眠る枕やピローケースには、もしかすると(マメに洗わないことで)細菌が付着しているかもしれない……。確かにそうですよね。