期間が過ぎたらどうなるのか
このようなやり取りは、決して稀なものではありません。産業医ならば、1年に何度も繰り返しているはずです。それほど、人間関係で悩んでいる人が多く、人間関係で人生が変わるような思いをすることも多いのです。
では、このような、「期間限定」の付き合いを実践した人は、この後どのようになるでしょうか。実は、ほとんどの人が転職に至りません。
もちろん、転職がうまくいかずに、今の会社にやむなく残る人もいるでしょう。しかし、私が知っている限りは、そのような「転職したいのにできない」ケースは多くありません。
どういうことかと言うと、しばらくして再び面談した時のやりとりに、その答えがあります。
●「『どうせ辞める』と思って上司と関わっていると、気が楽になって、意外と懐に飛び込みやすくなりました」
●「何となくですが、上司も私と同じように悩んでいることに気づきました」
期間限定のお付き合いでいいや、と決めた人には、心に余裕が出てくるのです。今までは、相手に対して、嫌な面しか見えていなかったのが、全体を俯瞰することができるようになり、また違った相手の一面を見ることができるのですね。
あなたが現状にしがみついて、心がズタボロになるまで、我慢する必要はありません。そのストレスを自分ではどうしようもないなら、逃げられるうちに逃げましょう。
ただ、今すぐは動けないというのであれば、この期間限定のお付き合いが効果的です。
まずは自分で決めた期間だけでいいので、頑張ってみましょう。
しんどい相手からすぐには逃げられないときは、
「期間限定思考」で心の余裕を作ってみよう。
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産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。