美容業界から誕生した2019年版替え刃モデル

今年7月にサービスの本格展開を開始した、IoT(モノのインターネット化)スキンケアブランド「Optune(オプチューン)」(資生堂ジャパン)も、ビジネスとしては替え刃モデルの一種と言えるでしょう。専用ページで会員登録し、定額プラン(月額1万円(税別))に申し込むと、後日、選ばれた5本のスキンケアカートリッジとともに、洗顔後のスキンケア(保湿液)を提供する専用マシン(レンタル)が届きます。

オプチューンと5本のスキンケアカートリッジ

ただし、昔ながらの替え刃モデルとの決定的な違いは、「そのときの自分に適した、自分にピッタリのスキンケア」ができること。それを可能にしたのが、IoTのテクノロジーと、「サブスクリプション(サブスク)」と呼ばれるサービス形態です。

サブスクについては、以前も「エアクローゼット」の回(「忙しい人ほど“借り放題”の虜になる理由」)にお話ししましたよね。モノやサービスを利用する際に、その都度料金を支払うのではなく、一定期間契約し続けること。「定額制」とも呼ばれ、「利用すればするほど、安くなる」と捉える方もいますが……、実はサブスクの最大のメリットは、そこではありません。

サブスクの意外で大きなメリット

近年は、ビッグデータを活用できる時代。膨大なデータを蓄積・駆使することで、ユーザー個々人に合った最適な商品やサービスを「リコメンド(お薦め)」することも可能になりました。つまり、1つの店や企業の商品、サービスを長く(あるいは何度も)使えば使うほど、パーソナライズされたデータが蓄積され、提供者側の企業や店は、ユーザーの好みや性質がよりリアルに分かってくる。

サブスクのメリットも、基本的には同じです。

私はよく「恋愛」に例えます。たとえば初めてのデートの際。彼氏はあなたがどんな嗜好なのか、映画館が好きなのか、アウトドアデートがしたいのかさえ、たぶん明確には分かりませんよね。

でも長く付き合えば、「彼女はこういう店が嫌いなのか」や、「この言葉は“地雷(NGワード)”なのか」まで、よく分かってくる。

その後の彼氏は、あなた自身が認識していないことまで、「ひょっとして、こういうのが好きなのでは?」と、気づいてくれるかもしれません。そうなれば、あなたはきっと「さすが、私のことを分かってくれる」や、「この人とずっと一緒にいたい」と思うはずです。