日本で新しい金融手法であったリース業を祖業として、融資、投資、生命保険、銀行、資産運用、自動車関連、不動産、環境エネルギー、コンセッション(公共施設などの運営権)事業などへと、多角的に事業領域を拡大してきたオリックス。同社の創業メンバーの一人で、2014年まで30年を超えてグループCEO(最高経営責任者)を務めたのが、ミスター・オリックスともいうべき宮内義彦氏だ。その語り口は静かだが、時に厳しく、企業社会と経営に対する洞察に満ちている。これからの企業経営を担う人材に向けて、経営に関する持論や自らの経験を縦横に語ってもらった。(第3回/全3回)
巨大複合商業施設「グランフロント大阪」。多目的ホール、オフィス、ホテル、レストラン、コンベンションセンターなどで構成されている。

後継者は育成するものなのか

——経営者の重要な仕事のひとつに自分の後釜となる後継者の育成があります。宮内さんはこの問題にどうやって対処してきましたか。

【宮内】後継者は育成するものではなく、育ってきた人の中から経営者として見込みがある人を選ぶものではないでしょうか。

意中の人物をトップに据えてみる。トップをやらせてみたら、さらに立派になるだろうと思って抜擢ばってきするわけです。その結果、周囲の期待に応えて、さらに成長する人もいれば、逆にダメになってしまう人もいる。こればかりはいろいろです。やらせてみないと分からない。

オーナー経営者ではなく、社員から昇格してトップになった人の中には、自分を見失ってしまうケースもあります。昨日までは役員の一人だったのに、トップになり周囲から「社長」と呼ばれると、自分の立ち位置がわからなくなってしまうことがあるのです。会社の規模が大きいほど、多くの人が付き従ってくれるので、経営トップの役割を理解しないまま、つい自分が「偉くなった」と勘違いしてしまう。そのような人がトップになった場合、会社の成長はそこで止まってしまいます。

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セミナー名PRESIDENT経営者カレッジ開講記念セミナー「人間の器を広げる」​
登壇予定講師:數土文夫氏(JFEホールディングス 名誉顧問)、谷田千里氏(タニタ 代表取締役社長)、横田英毅氏(ネッツトヨタ南国 相談役)、菊地唯夫氏(ロイヤルホールディングス 代表取締役会長)、鈴木敏文氏(セブン&アイ・ホールディングス 名誉顧問)、宮内義彦氏(オリックス シニア・チェアマン)、瀬戸 薫氏(ヤマトホールディングス 特別顧問)、田中隆章氏(京セラコミュニケーションシステム)=登壇順
日時:2020年1月20日(月) 10時30分~19時30分
会場:一橋講堂(東京都千代田区)
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