オリックスでは、グローバルな環境保全活動の一環として、台風被害を受けたフィリピンのルソン島でマングローブの植樹活動を行っている。

企業活動の本質と社会的責任

——このところ、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)といった非財務情報を企業評価に取り入れようとする動きが急拡大しています。その3つの単語の英語の頭文字をとったESG投資が日本でも拡大しているのです。こうした風潮をどうとらえていますか。

【宮内】昔、CSRという言葉がはやりました。Corporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任を意味します。ESGはその今版なのでしょう。私はCSRもESGもある意味実に空疎な言葉だと感じるんです。

そもそも企業にとっての社会的責任、社会貢献活動は、会社が存続し、人々に望まれる商品やサービスを作り出し、多くの人を雇用し、税金を支払って、社会の安定や成長に資するということではないでしょうか。そのことの価値の大きさに比べたら、CSRと称して何かに寄付をしたり、社員をボランティアに駆り出すことはもちろん大切な活動ですが、企業活動の本質ではありません。

オリックスにも企業財団があり、全国の社会福祉施設に福祉車両を寄贈したり、最近では、地域の人々が子供たちに食事や居場所を提供する「子ども食堂」への支援を行っています。しかし、社業をしっかり遂行し、「よい会社」になるようしっかり運営していく。それこそが社会のためにあるべき企業の姿なはずです。

——社業で余ったお金を何かに寄付するのはいいことだと思うのですが。

【宮内】もちろんそうです。経団連が1990年に始めた、経常利益や可処分所得の1%以上を自主的に社会貢献活動に使おうという趣旨のワンパーセントクラブは素晴らしい活動だと思っています。が、声高に叫ぶような話でもない。陰徳を積むということです。いわば、寺社へ参拝してお賽銭を入れるような話です。自分はお賽銭をいくら入れたとはあまり言わないものでしょう。

そのCSRの今版ともいうべきESG、これも不思議な点があります。環境(E)と社会(S)への配慮を怠らない、というのは企業経営の目標です。そこまではよいのです。でも、ガバナンス(G)は経営の目標ではなく、手段です。目的と手段をごちゃまぜにしてESGという標語にしているようで私自身はとても違和感を持っています。