自分自身の成長が働く喜びに
その翌年に取締役になりましたが、最初は自分のなすべき勤めをちゃんと理解できていなくて、戸惑うことも多かったですし、自分で良いのかと思うこともありました。取締役として自覚の足りなさを痛感したこともありました。
ただ、私は楽観的かもしれませんが、ポジションが人を育てることもあると思っています。今はまだ能力が足りなかったとしても、その立場に立つことで見えてくる世界があります。私は明確なキャリアプランは持っていませんでしたが、いつも一つ上の立場をイメージして、自分なりに成長しようとしてきました。
私にとっての働く喜びは“自分自身の成長”にあります。20代、30代の頃、退職を考えたのは、忙しいのに成長が感じられず、自分がすり減っているように思えた時でした。逆に楽しかったのは、どんなに忙しくても成長を実感できている時でした。未経験の仕事やポジションは、新しいことを学べたり、違う自分を発見したり、新たな扉が開いたりする可能性にあふれています。挑戦すればするほど、働く喜びもきっと大きくなるだろうと思うのです。
前向きに仕事をするコツは「学びを作る」こと
次に、私が仕事をする上で大切にしていることを、メンタル面と仕事の仕方についてと、それぞれご紹介したいと思います。メンタル面では次の3つを大切にしています。1つ目はいつもポジティブでいること。仕事には苦労はつきものですが、気持ちだけでも前向きに、そしていつも笑顔を絶やさないように心がけています。ポジティブでいるとうまく進むことが多いように思います。
2つ目は、落ち込んだ時の対処法です。長く働いていれば、どうしても頑張れない時もあります。そんな時は、「もういいや!」って食べて寝ちゃいます(笑)。落ち込んだ時には、心の中のモヤモヤを紙に書き出すこともあります。文字にしてみると、大したことないなと思えることが多いですね。3つ目は、昨日より今日、今日より明日、と少しでも成長できるように、学びや改善を毎日1つ以上作ること。英単語を1つ覚えるとか、営業成績表の数字を覚えるとか、小さなことで良いと思います。学びを作ることで「今日も成長できた!」とうれしい気持ちになるんです。
また、タイミングを計ることもとても重要。経験から言えば、物事にはちょうど良い“時(とき)”というのがあると思います。スピードが大切なことや先手必勝なこともあれば、あえて時間をかけた方がよいこともあります。絶妙なタイミングを計ることも成功の秘訣だと思います。続いて、仕事の仕方という面では、「ゲスト(現場)を第一に考える」、「同じ失敗を繰り返さない」、「準備を大切にする」、「周りを巻き込む」、「タイミングを計る」、の5つを大切にしています。失敗は誰にでもあります。ですが、同じ失敗を繰り返しては信頼を失います。失敗から学ぶことが大切。また、念入りに準備をすることで、いざという時に備えられるし、余裕も生まれます。1人でできることも協働すれば互いの成長が生まれます。