理想のリーダー像に近づくために
最後に、私がリーダーとして大切だと思うことを5つお伝えします。(1)ポジションが人を育てる。だから勇気を持って踏み出す。(2)部下の話にはいつでも耳を傾ける。(3)わからないことをそのままにしない。(4)一点集中で考えず全体を俯瞰する。(5)自分がなりたい“自分”になる。
昇進や昇格の話があったら、まだ力が足りないかなと思っても、勇気を持って踏み出すべきです。そしてリーダーの立場になったら、部下の言葉に耳を傾ける姿勢と、「いくつになっても勉強」という謙虚さを持ち続けることが大切。目の前の懸案事項だけに注力するのではなく、ほかに問題になっていることはないか、さらに優先順位の高い事案はないかなど、一歩引いて全体を見渡す姿勢も求められます。
自分の“なりたい姿”を具体的にイメージすることも大切です。私も「こういう上司でありたい」という思いを頭において、今もその像に近づこうと試行錯誤しています。リーダーになる前はもちろん、なった後も自分なりの理想に近づく努力を続けたいですね。
ただ、私は昇進だけが仕事のゴールだとは思っていません。女性管理職の増加はうれしいことですが、それよりも与えられた場所でどれだけ楽しみ、輝けているかということのほうが重要だと思います。皆さんが楽しみや輝きとともに働いていけるよう願っています。
文=辻村洋子
上智大学文学部卒業。1985年ホテル小田急入社。宿泊部フロント課、営業企画部広報宣伝課などを経て小田急ホテルズ&リゾーツ出向。2006年にホテル小田急に復職し、「センチュリー ハイアット 東京」から「ハイアット リージェンシー 東京」へのリブランドに携わる。2018年、取締役に就任。