リーダーを目指す過程では、どうしても前向きになれない時期もあるもの。たとえそれが昇格でも、気が進まない異動を命じられたらどう乗り越えればいいのでしょうか。異動や出向も前向きに捉え、ホテルのリブランドという大役を任された宮越真理子さん。2018年4月に会社初の女性役員に就任し活躍する宮越さんから、「リーダーになる人」の考え方を学びます。

(※本稿は、2019年6月27日、しなやかに情熱を持って働く女性たちのための交流会「PRESIDENT WOMAN Salon」の第3弾「ハイアット リージェンシー 東京 取締役・宮越真理子さんを迎えて」の内容から構成しています)

「仕事も家事も完璧にこなそう」と苦しんだ7年間

ホテル小田急 ハイアット リージェンシー 東京 取締役宿泊部長 宮越 真理子さん

ハイアット リージェンシー 東京は、日本初のハイアットホテルとして1980年に開業しました。746の客室、8つのレストラン・バー、18の宴会場、スパ、プール&フィットネスを有するシティホテルです。会社としては「株式会社ホテル小田急」という社名で、小田急電鉄を中心とした小田急グループのフラッグシップホテルという位置づけになります。

私はホテルの売上の3本柱である宿泊、レストラン、宴会のうち宿泊部門のオペレーションを統括する宿泊部長であるとともに、ホテル小田急の取締役を務めています。社内では初の女性役員です。女性役員登用という面では、当社はまだスタートしたばかりかなと思います。

ホテル業界では新しいホテルの開業を機にそのホテルに転職する人が多いなか、私は1985年に入社して以来、ずっと当社で働いてきました。今回は、私のキャリアを自分なりに「第1期=成長期」、「第2期=充実期」、「第3期=新たなスタート」の3つに分けてご紹介したいと思います。まず「第1期=成長期」ですが、これは22歳で入社してからの約20年間になります。最初の7年はフロント課宿泊予約係で働き、仕事量の多さと家庭との両立に苦しみました。仕事も家事も完璧にこなそうとして、自分で自分を追い詰めていた時期でもあります。

疲労から肺炎になって入院し、一時は退職も考えました。でも、上司に不満をぶつけたらスッキリしてしまって(笑)。夫が「頑張りすぎないで」と言ってくれたこともあり、完璧を目指さなくてもいいんだと思えるようになりました。