ミーティングでアイデアや意見を募っても、誰も発言しない沈黙の時間がある。コンサルタントの矢本治さんは「リーダーに必要なのは、部下の話を聞く力。ついイライラして話を遮るようなことをしてしまいがちだが、そうすると、部下は意見を言っても無駄だと忖度するようになり、上司は裸の王様になってしまう」という――。

※本稿は、矢本治『なぜミーティングで決めたことが実行できないのか』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

自分の思い込みで失敗するか適切な判断で成功するか

いろいろな会社のミーティングを見ていると、リーダーは、「適切な判断によって成功するリーダー」と「自分の思い込みで判断して失敗するリーダー」の2つに分かれます。

その違いはどこからくるのかというと、1つは集まる情報の量とスピードです。

唐突ですがペットボトルを例にとると、見る角度によって形が全然違いますよね。真上、真下、横、斜めと、様々な角度から見ることで、本質的な形を把握することができます。

仕事上の問題も、ある意味、このペットボトルと同じです。

AさんとBさんが社内でトラブルを起こした場合、Aさんの話だけを聞く場合と、両者の話を聞くのとでは、得られる情報も違えば自分の見解も変わってきます。

さらに、両者のトラブルを近くで見ていたCさんの話も聞くことで、さらに情報が増え見解が変わる可能性も出てきます。

スタッフの話を聞くリーダー
写真=iStock.com/JohnnyGreig
※写真はイメージです

つまり、情報という視点は多いほうが、本質的な問題を把握できたり、適切な解決策を導き出せる確率が高くなります。

また、情報が届くスピードも、速ければ速いほど問題は解決しやすくなります。

例えば、社会人の報告・連絡・相談の基本に、「ミスやクレームなどの悪い情報ほど上司に素早く報告し対処する」がありますが、①すぐ情報が集まり早期に解決できるリーダーと、②責任追及を恐れた部下が報告をためらううちに問題が大きくなり、重い対応を迫られるリーダーの差などが代表的なケースです。

「聞く力」に優れたリーダーが気をつけていること

このように、集まってくる情報の量や、その情報が届くスピードが、リーダーによって差がついてしまう原因は、そのリーダーの「聞く力」にあります。

「聞く力」に優れているリーダーはどんなことに気をつけているのでしょうか。

それはミーティングを見ていればわかります。

ここではミーティングの場を例に、共通する3つのポイントを紹介します。