10年の歳月とコストを費やしてつくったシューズ
ファンランナー(タイムや順位ではなく純粋にランニングを楽しみたい人)の場合、「シューズは1足」という方が多いかもしれない。ちょっとくたびれた頃に新たなシューズを購入するというパターンだ。
フルマラソンで上級者となるサブ3(3時間切り)でも「1足」派は案外少なくない。気に入ったシューズを履きつぶしては買い、履きつぶしては買いの連続だ。
しかし、多くのプロやファンランナーの取材をしていると同じシューズを履き続けるのではなく、シーンや目的に応じて履き替えたほうがパフォーマンスが高まるのではないかという意識が徐々に高まっている。
「ジョイライド ラン フライニット」の開発に携わったナイキ ランニング部門シニアプロダクト・マネジャーのウィリアム・モロスキーはこう話す。
「私たちのチームは、走るのがツラいと感じてしまうランニングを楽しくするにはどうしたらいいのかを10年間考えてきました。今回のシューズは、ランニングを楽しんでもらえるように、芝生の柔らかさと砂浜の足を包み込む感覚からインスピレーションを得て開発しました。特にエリートランナーには、ウォーミングアップやリカバリーランで履いてほしいと思います」
「走力だけに合わせたシューズ選び」はもう古い
同じように見えるランニングシューズでも、フィット感、クッション性など履き心地はかなり異なる。複数のシューズを履くと自分に合うタイプがわかってくるはずだ。
筆者はほとんど同じようなペース(キロ5~6分)でしか走らないが、その日の気分やウエアでシューズを選びようにしている。不思議だが、それだけでマンネリ化を防ぐことができ、ワクワクした気持ちになる。服を着替えるように、シューズもTPOに応じて、履き替える時代がやってきたのかもしれない。