男性の客室乗務員、女性の整備士が続々誕生
【片野坂】男だから、女だからと役割分担をしていた時代は終わり、今はジェンダーフリー、ダイバーシティの時代です。当社でも、以前は男の職場だったところに女性が多く進出するようになりました。逆に、女性の職業と言われてきた客室乗務員にも男性が現れ始めています。
【白河】ANAを利用する際に見ていると、女性のパイロットや整備士は増えてきたなと感じます。でも、男性の客室乗務員はほとんど見かけません。
【片野坂】ANAでは、海外採用や、総合職の配属変更によって客室乗務員を務める男性はいました。ただ、客室乗務員職としての新規採用ということになると、これまでは募集しても最終選考まで残る男性がいませんでした。しかし、2018年に初めて4名の男性客室乗務員を採用し、今年19年から飛んでいます。ANAにとっては非常に画期的なことで、私もうれしく思っています。
【白河】応募する男性側にも「客室乗務員は女性の仕事」というバイアスがあったのかもしれませんね。男性の客室乗務員の誕生は、ANAホールディングスのジェンダー平等やダイバーシティという面で、とても象徴的な出来事だと思います。乗客はその変化を自分の目で見られるわけですから、多くの人の意識を変えるのではないでしょうか。ほかの男職場に進出する女性はどうでしょうか。増えていますか?
【片野坂】ANA単体で、約20名、LCCも含めたグループの航空会社で約50名の女性パイロットがいまして、女性機長と男性副操縦士という組み合わせも出てきています。また、女性の整備士も増えていますね。木村拓哉さん主演のTVドラマ「GOOD LUCK!!」放送後は応募が増えました(笑)。グランドハンドリングスタッフにも女性が増えていますが、こうした男職場に最初に進出したパイオニアの女性たちは、かなりの苦労があったと思います。
【白河】長い間男性ばかりでやってきた職場は、設備も機材も男性向けにつくられているわけですから、最初に入った方は大変だったでしょうね。
【片野坂】女性用トイレがなかった、脚立の高さが低いなど、挙げればキリがありません。今では各職場で改善が進んでいますが、それで実際に苦労が和らいでいるのかどうか、調査しなければと思っています。