「強化」「徹底」「カイゼン」という言葉を使っていないか

つまり、リーダーが行うべきことは、

①明確な結果設定
②できないことへの対策を“考えさせる”
③対策によって、どのような結果をもたらすのか“約束”させる

ということになる。

おそらく大半の現職リーダーのみなさんは、みずからこのサイクルをまわして成長を遂げてきたか、このようなマネジメントを展開する上司のもとで成長してきたはずだ。

しかし、多くの組織では誤ったマネジメントが展開されている。

①結果を明確に設定しない。期限がないものは論外。強化、徹底、カイゼンといったあいまいなビッグワードで締めくくられているものも“明確”とは言えない。期限において、到達したかしないかを瞬時に○or×と判定できるものにしなければならない。

また、②は「良い上司」にあるように、考えさせることなく、○○と言いなさい、○○という練習をしなさい、○○という方法でやりなさい、と細かく指示してしまう。これによって、前述の通り、部下にまんまと言い訳材料を渡している。

最後に③だが、部下が対策をひねり出してきたことで安堵し、そこでコミュニケーションが終わってしまうことが散見される。これは、「ロープレやるんだ、いいね」「○○君にコツを聞いてくるっていうのはよく考えたね」と方法、取り組みといったプロセスそのものを評価してしまっていることから、部下の意識が“結果”に向かわない。きっちり、結果を約束させるところまで抜かりなく行うことが重要だ。

リーダーが“見る”べきなのは、やり方ではなく“結果”なのだ。

面倒見という特性を最大限活かすために

成長は、できないことができるようになる、と定義しましたが、みなさんにひとつ考えを伺いたい。

成長は曲線か、それとも階段か?

つまり、曲線的にだんだんと成長していくのか、ある一定期間の踊り場を経て瞬間的に成長するか、どちらだろう。

部下の成長は曲線? 階段?

ご自身の経験や、これまで見てきた部下などイメージしてほしい。われわれがコンサルティング現場でヒアリングしていると、よりパフォーマンスの高いリーダーほど「曲線」と答えるが、実のところ成長は「階段」だ。つまり必ず踊り場を経て、ある日瞬間的にできるようになる、というもの。

これは勉強なども同じで一定期間勉強しても点数や偏差値が上がらないという期間があり、これを経て突如上がる。こんな経験はないだろうか。優秀な人ほどこの踊り場期間が短いために、曲線と認識しているのだ。

業務スキルも同じなのだが、ここでの落とし穴は、踊り場期間は成長が見られないので、サボっているように見えたり、能力を懐疑的に見てしまうというもの。

しかし、ここで見限ってはいけない。部下が反復して何かに取り組んでいる状態、行動を起こし、それを繰り返しているようならば、踊り場にいる期間として“見守って”あげよう。それが、女性の面倒見という特性を活かしたマネジメントになるはずだ。

冨樫 篤史(とがし・あつし)
識学 新規事業開発室 室長
1980年東京生まれ。02年 立教大学経済学部卒。15年グロービス経営大学院にて経営学研究科(MBA)修了。現東証1部のジェイエイシーリクルートメントにて12年間勤務し、主に幹部クラスの人材斡旋から企業の課題解決を提案。名古屋支店長や部長職を歴任し、30~50名の組織マネジメントに携わる。15年、識学と出会い、これまでの管理手法の過不足が明確になり、識学がさまざまな組織の課題解決になると確信し同社に参画。大阪営業部 部長を経て、現職。

写真=iStock.com

冨樫 篤史(とがし・あつし)
識学 新規事業開発室 室長

1980年東京生まれ。02年 立教大学経済学部卒。15年グロービス経営大学院にて経営学研究科(MBA)修了。現東証1部のジェイエイシーリクルートメントにて12年間勤務し、主に幹部クラスの人材斡旋から企業の課題解決を提案。名古屋支店長や部長職を歴任し、30~50名の組織マネジメントに携わる。15年、識学と出会い、これまでの管理手法の過不足が明確になり、識学がさまざまな組織の課題解決になると確信し同社に参画。大阪営業部 部長を経て、現職。著書に『伸びる新人は「これ」をやらない』(すばる舎)がある。