部下の成長を阻害する教え方

読者が、新規開拓の営業経験があるなら容易に想像することができるが、週に10件アポイントを取らねばならないシチュエーションで4件の獲得で終わってしまった場合、

できないこと=6件のアポイント獲得
できない⇒できるための方法を考える=ロープレ、取れている人にコツを聞く等
その方法を反復継続する=次週、そのやり方を実践し繰り返していく

このサイクルを10件に到達するまで繰り返していくことが必要になる。

「良い上司」に挙げられている「具体的なアドバイスをくれる」について、上司が手取り足取り具体的なやり方を指南している場合、部下の成長を阻んでいる可能性があるので要注意だ。

やり方を細かく指南していくスタイルのマネジメントが危険なのは、「部下は、そのやり方を踏襲して生じた結果責任を感じにくい」というものだ。具体的に言うならば「上司の言ったとおりにやったのだから、生じた結果責任も上司である」という思考になりがちだ。つまり極端な表現になるが「これは自分の責任じゃないですよね、あなたの言った通りやったのだから」となる。

リーダーは何を“見る”べきなのか

では逆に、上司の細かい指示が正しければ、つまり結果が伴ってくればいいのか、というと実はそうでもない。環境は常に変化し、上司の最上級としている方法論が未来永劫有用であり続けることはあり得ないし、何より部下が自ら方策を考え出し、責任を全うするという経験を積むことができない。つまり、本来的な意味での達成感が得にくく、モチベーションを見いだせなくなってしまうのだ。

これからの時代、上司にも解がない状況や、簡単にそれを見いだせない環境下においてでも結果を出すスキルを身に付けることが必要だ。マニュアル通りに動くことで時給をもらっているアルバイトならば“実働責任”を果たしていればそれでいいが、読者の大半は”結果責任“を追っている部下を管理しているはず。結果責任を負っている部下のマネジメントにおいて、見るべきは”やり方“ではなく、あくまでも“結果”ということになる。