部下に対して感情的になってしまったことがあるという管理職の方は多いのではないでしょうか。多くのマネジメント層と接してきた識学の安藤広大社長は「職場で人が感情的になる原因は主に2つ。これをスマートに解消していく方法があります」と言う。“感情型マネジメント”から脱却する方法とは――。
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女性管理職によくある悩み

女性管理職と相対する現場で多く聞かれるのが「感情的になってしまう」というものです。医学や心理学などの学問的見地から性別による感情的コミュニケーションの頻度に差異があるのかどうかはここでは触れません。あくまで、そのような意見が女性管理職から多く聞かれるという枠内で議論を進めます。

具体的によく聞くのは以下のようなものです。

「求めている成果物にならない」「何度も同じ間違いをする」……そんな時、部下に対して感情的に叱ってしまいます。
部下が複数いる場合、どうしても好き嫌いがおもてに出てしまいます。
仕事でもプライベートでも嫌なことがあり気分がふさいでいると、部下を呼ぶトーンにまで感情が出てしまうことがあります。
社長(男性)が幹部である自分(女性)をご機嫌ななめにしないために、気を遣っているのがわかります。決して気を遣って欲しいと思っているわけではないのですが、たまに、ご機嫌取りをされているなと感じますが、実際にそれで気分が上がることがあります。

人が職場で感情的になる原因2つ

このように、集団の中で人が感情的になる理由は主に2つあります。

1.集団内に価値観、基準、ルールの統合がなされていない
2.上司部下間で交わされる指示、ルール、目標などが不明確

これら2つについて、「感情型マネジメント」から脱却していく方法を考えていきます。

1.集団内に価値観、基準、ルールの統合がなされていない

この状態は要するに、集団を構成する個々人が、それぞれの価値観で好き勝手に言いたい放題、やりたい放題になっているということです。

突然ですが、「上司の言うことを聞きたくないなあ」と思ったことはありませんか? おそらく、一度くらいはあるのではないでしょうか。では、どのような上司の物言いに対して、部下は聞きたくないな、嫌だなと感じてしまうのでしょうか。例を挙げてみようと思います。

【威圧的、脅迫的】
属人的恐怖(恫喝など)を用いて言ってくる場合

【あいまい】
どっちつかずの指示、部下に選択させ、迷わせるような指示、ゴールイメージが不明確なもの

【後出しじゃんけん】
「○○って言っておいたでしょ」「言ってなかったっけ」といった後出し、後付けの物言い

他にも、「理不尽すぎる」「そもそも嫌い」や、限定的な状況ですが「年下の上司だから」などがよく聞かれる項目です。