万人に感じ良く思われなくてもいい

万人から「感じ良」く思われるなんてことはありえません。あなたが「感じ悪い」と思っているひとにまで、「感じ良」く思われる必要はありません。「感じが良い」かどうかは、キャラの問題ではなく、関係の問題。感じの良い関係と感じの悪い関係があるだけ。生きていれば感じの悪い関係は避けられません。

上野千鶴子『上野千鶴子のサバイバル語録』(文春文庫)。40年の間に書いたものや話したものから140の言葉を収録。

男に有利なルールでの競争

この家庭責任を免れた男性労働者たち、一歩家を出れば「単身者」のふりをできる男たちと「対等の」競争に参入するのは、女性にとって最初から負けがこんだ勝負です。家庭を持つことをあきらめるか、他のだれか(実家の母や姑)に家庭責任をおしつけるか、さもなければがんばってカラダをこわすのがオチでしょう。つまり「男並みの競争」とは、もともと男に有利にできたルールのもとでの競争を意味します。そのなかにすすんで入っていく女が、悲壮に見えたり、あほらしく見えたりするのも、当然でしょう。こんな「機会均等」、だれが望んだ?……と女性が言いたいきもちは無理もありません。

組織は外圧と体面で変わる

組織に自浄能力はないわね。変わるのは外圧と体面によってね。東大のセクハラ対策を作るときがそうだったんだけど、あらゆる分野で日本のNo.1でなければならないというあの集団の思い込みをうまく使うことで、物事が進んだの。「こういうことをやるとみっともないです。こっちのほうがいいですよ」と散々言ったら、そのとおりになった。だから、ものは使いようなんだね。