100年以上続くブランドを守っていく

今、経営企画ではブランド管理の仕事に取り組んでいる。アサヒ飲料には、三ツ矢サイダー、ウィルキンソン、カルピスと、100年以上の歴史を誇る3つのブランドがある。そこで掲げたのが〈100年のワクワクと笑顔〉というメッセージ。お客さまに飲料を通して、健康や楽しさを伝えていくことを目指す。それは、平田さんの夢でもあった。

「もともと食品メーカーを志した理由は、人が生きていくために必要なものをつくりたかったから。私は食べ物の好き嫌いが多くて、そんな人間でも健康に生きられるような飲み物があるといいなと(笑)。だから、せっかくつくった商品がちゃんとお客さまに届き、長く愛してもらえたらいいと思うのです」

実は受け身な性格

そんな夢を抱いて入った商品開発の現場では、まさにトライアル&エラーの繰り返し。部下の失敗をフォローしたり、震災のときは原料調達に追われたりと、数々のピンチを切り抜けてきた。どんな困難も乗り越える力になったのが、実は入社当初のつらい経験だった、と平田さんは苦笑する。

「どんなことがあっても頑張れるのは、最初の1年半を耐えられたから」と平田さん。

「どんなことがあっても頑張れるのは、やっぱり最初の一年半を耐えられたことが大きいですね。先輩は厳しかったですが、当時の所長は私を信頼してくれて、入社一年目なのにリポートを提出して説明するとしっかり聞いて、労いの言葉もかけてくださった。それが嬉しかったし、ちゃんと仕事をしたら認められるという希望が後につながったような気がします」

平田さんの歩みを振り返ると、自分の力でキャリアを切り拓いてきたことがうかがわれる。モデルケースがない中での果敢な挑戦に見えるが、「いえ、実は受け身な性格で」と照れる。

「たぶん私は下の人にはあまり強く言えないんですけど、上の人には思っていることを強く言っちゃうタイプ。ひと晩、ふた晩じっくり考えて、自分が正しいと思ったらズバッと言ってしまうというか……」

続けて平田さんは、「怒りが力になるタイプなのかも」とポツリ。その「怒り」とは仕事に懸ける熱い情熱ゆえであり、やはり商品に注ぐ愛情なのだろうと思う。

平田倫子(ひらた・みちこ)
アサヒ飲料 経営企画部 経営企画グループ 担当部長
1997年アサヒ飲料に技術系社員として入社。商品開発研究所にてお茶飲料開発チームリーダー、炭酸飲料開発チームリーダーを経験し、2016年商品開発第一グループリーダー。17年9月より現職。

文=歌代幸子