名古屋市と豊田市に挟まれたベッドタウン
愛知県長久手市の知名度が一気に高まったのは、2005年に開催された万博「愛・地球博」の会場となってからである。それに加え、ここ数年は、「日本一若いまち」として知られるようになった。2010年から2015年にかけての人口増加率は10.7%と極めて高く、特に若い世代の人口増加が進んだことで、住民の平均年齢が38.6歳(2015年「国勢調査」)という、全国で最も若いまちとなったのである。
なぜ長久手市は人口増加を続けているのだろうか。最大の要因として、西に2027年のリニア中央新幹線開業を控えて好景気が予想される名古屋市、東には日本経済を牽引するトヨタ自動車本社のある豊田市に挟まれているという、立地上の特性がある。つまりベッドタウンとしての人口増加がもたらされているわけだ。1971年の町制施行以降、地道な区画整理事業によって宅地開発が進められた結果、1970年に1万1000人を超える程度だった人口は急激に増加し、約半世紀の間に、実に5倍の5万6000人を超える規模にまで拡大したのだ。
イオンモールとイケアもオープン
長久手市の活力は人口の「量」的な増大にのみあるわけではない。まちとしての「質」的な充実ぶりは、市内を東西に貫く「グリーンロード」を歩くことで感じることができる。2005年の「愛・地球博」を契機に開業した磁気浮上式鉄道「リニモ」が頭上を走るメインロード沿いには、2016年に「イオンモール長久手」、2017年には「イケア長久手」がオープンするなど、大型商業施設が一気に開業した。万博会場跡地の愛・地球博記念公園には、スタジオジブリの作品をモチーフにした「ジブリパーク」が2022年度に開業予定と、ここ数年来の動きは目覚ましいものがある。
人口増加に対応した大型商業施設の進出や、学校、公園などの整備により、生活環境の「質」が整えられた。その成果として、2015年の日本経済新聞「子育てをしやすいまち」ランキング1位、2016年の『日経ビジネス』「活力ある都市ランキング」3位、2018年東洋経済新報社「住みよさランキング」2位というように、各種都市ランキングにおいて華々しい評価をたたき出すことになった。これらのランキングは、生活面での利便性や快適度などさまざまな指標による評価であり、長久手市の生活面での「質」の豊かさを表すものと言える。