プロゲーマーが国民的スターになる日が来れば……

認知や法律上の問題など、日本でeスポーツを普及させていくために解決すべき課題が多いことは事実であるが、前述の通りeスポーツ事業への参入も増えており、着実に普及が進んでいることは事実である。その一例として、2019年に茨城県で開催される国民体育大会の文化プログラムとして、「都道府県対抗eスポーツ大会」が開催されることが決定している。

野村総合研究所『ITナビゲーター2019年版』(東洋経済新報社)

今後eスポーツを新しい「スポーツ」として普及させるには、法律上の課題の解決はもちろんのこと、スター選手の存在、そして青少年が健全にプレイできる環境作りが欠かせない。日本にも、日本人初のプロゲーマーであるウメハラ(梅原大吾)選手や、東大卒プロゲーマーという異色の経歴を持つときど(谷口一)選手のようにスター選手は存在するものの、ゲーム界のスターにすぎない。彼らがゲーム界のスターから国民的スターになることができれば、一気に認知度が高まり、日本のeスポーツ産業は大きく躍進するだろう。そのためには、さまざまなメディアを通じて、eスポーツの「楽しさ」や「競技性」、さらにはeスポーツで生計を立てるプロゲーマーの存在を、正しく伝えていくことが欠かせない。

これまでインターネット番組での配信しかなかったeスポーツの番組だが、日本テレビが2018年7月から、日本初となる地上波でのeスポーツ番組をスタートさせ、普段eスポーツにかかわりのない一般の視聴者への露出が高まっている。こうした取り組みは今後も増加し、一般の人がeスポーツに接する機会は増えると思われる。前述のテレビ番組をはじめ、eスポーツを今後さらに普及させるには、マスメディアやSNSなどメディアの担う役割は非常に大きい。

隈部大地(くまべ・だいち)
野村総合研究所コンサルタント
2016年東京工業大学大学院修了、同年野村総合研究所入社。専門はICT・メディア分野における事業戦略およびマーケティング戦略立案支援。コンサルタントとして活動する傍ら、eスポーツプレイヤーとしても活動しており、日本代表として4度の世界大会の出場経験を持つ。
(写真=iStock.com)
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