※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の特集「本当にいい病院は、どっち?」の特集記事を再編集したものです。
「涙の量を目薬で補う」は誤った治療法になった
▼ドライアイ
二本松眼科病院の平松類医師は、日本のビジネスパーソンの多くが患っているといわれるドライアイの治療法も変化していると話す。
「瞳に潤いを」与えようと目薬を持ち歩き、頻繁に使っている人も多いだろうが、実はドライアイは「涙が少ない」病気というわけではないという。
「ドライアイの診断基準は2016年に変更になっています。涙の量ではなく、涙の質と症状で判断するようになりました。つまり、涙の質が悪い、もっと言うと涙がすぐ乾いてしまうのがドライアイの症状なんです。今までは目薬を一日複数回さすことが主な治療法でしたが、今は涙の質を改善させるほうに重きをおいている。具体的には、目薬も涙量を増やすのではなく質を良くするものになっています。さらに、まぶたを温めたりする治療がより大切になっています。しかし、診断基準が変わってもとりあえず目薬を処方するだけの医師はまだいるのが現状です」
気をつけるべきは「古い目薬」を使わないこと
ドライアイは生産性を下げる疾患だ。14年の参天製薬の調査では、オフィスワーカー1人あたりの売り上げベースで年間約50万円が低下するとわかっている。ビジネスパーソンならば、最新の治療法をぜひ知っておきたい。平松氏によれば、市販の目薬を買うときにも注意すべき点があるという。
「具体的には塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤が入っている点眼薬はできるかぎり避けることをお勧めしています。この成分入りの点眼薬はむしろ目の傷を悪化させる可能性があることが最近の研究でわかってきたからです。短期的には問題なく見えても、長期的に目を傷つけてしまう。じつは多くの市販の目薬には防腐剤が入っています。ぜひ、成分をチェックして使ってください。防腐剤の入っていない点眼薬は容量あたりの値段は高くなります」
「ただ、一番気をつけるべきは、防腐剤に限らず古い目薬を使わないようにすること。目薬の使用期限は開封後防腐剤が含まれていないもので1~10日、含まれているものでも1カ月程度が目安です。蓋を開けてカピカピとした結晶のようなものが残っていたら、もう使ってはいけません。捨てて新しいものにしてください」