ホリエモンもトライアスロンを完走した

みやぞんが挑戦する“トライアスロン”は、スイム1.55km、バイク60km、ラン100kmの合計161.55km。合計距離は「アイアンマン」より少ないが、ランが長いため、距離設定は同程度と考えていい。

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/OSTILL)

ただし、制限時間は32時間ほどで通常の2倍近い。休憩時間は多く、トレーナーなどからマッサージも受けられる。そういう意味ではアイアンマンレースの精神とは異なるといえるだろう。

トライアスロンを愛好する著名人は少なくない。

実業家のホリエモン(堀江貴文)は2015年にデンマーク・コペンハーゲンのアイアンマンレースに出場。14時間20分で完走している。元プロ野球選手の古田敦也も2011年にオーストラリア・バッセルトンのアイアンマンレースを15時間11分でフィニッシュ。タレントの近藤真彦は宮古島のロングなどを完走しており、ITU世界ロングディスタンストライアスロン選手権では日本代表(50~54 エイジグループ)として出場している。

なお、アイアンマンやロングのエントリー費は4万円ほど。国内では宮古島、佐渡などで行われている。

ウルトラマラソンの人気も急上昇

肉体の限界に挑むハードな競技はトライアスロンだけではない。例えば、「ウルトラマラソン」。これはフル(42.195km)を超える距離のロードレースのこと。定番は100kmだが、それ以上の距離を走るレースもあり、国内で年間150大会以上が開催されている。

日本における先駆けのひとつは北海度の「サロマ湖100kmウルトラマラソン」だ。今年6月に第33回大会が行われた。第1回大会は1986年で、出場者は60人弱。そこから徐々に参加者が増え、100kmの部には1995年に1362人、2004年には3000名近くが集まるようになった。近年は人気のため先着順で、昨年は28分で3550名の定員に到達。今年も35分で定員締め切りとなった。

サロマ湖100kmマラソンのエントリー費は1.7万円。東京からのオフィシャルツアーは約9万円なので、エントリー費と宿泊費などをあわせるとレースに出場するだけで10万円以上が必要になる。それでも「100kmを走りたい」という人がたくさんいるのだ。

筆者はトライアスロン、ウルトラマラソンを何度も取材しているが、おもしろいと感じたのは、両競技の参加者がお互いをリスペクトしていることだ。アイアンマンの称号を持つあるトライアスリートは、「アイアンマンレースよりウルトラマラソンのほうがきついよ。気分転換できないし、同じ動きになるから脚がヤバい」と話す。反対にウルトラランナーは、「水泳と自転車もやらないといけないから、トライアスリートはすごい」と言う。

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/Dmytro Aksonov)

トライアスロン(ロングやアイアンマン)と、ウルトラマラソンは「速さ」ではなく、「完走」を意識している人が多い。制限時間内にフィニッシュするための「戦略」を考えるのが、ゲーム感覚でおもしろい部分になる。トライアスロンの場合は、ランが苦手なら、スイムとバイクで「貯金」をつくるのが完走へのアプローチになる。自分の得意・不得意を理解して、レースを組み立てていくわけだ。ウルトラマラソンの場合も制限時間から逆算して、ウォークや休憩を入れながら前に進む。両種目とも常にタイムと自分の体力を頭に入れながら、ゴールまでの道筋を描いていく。痛みと体力の限界を超えながら……。

だからこそ、フィニッシュの瞬間に涙を流す人が多い。極限の戦いで得られる充実感と、無事にゴールできたという安堵感が、大きな感動を呼ぶのだ。それはお金では買うことのできないものだろう。