※本稿は、『募集しない名門塾の 一流の教育法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
入試用のカリキュラムはあえて用意しない
つくし会では、自分の子がやってきたこと、あるいはわたし自身がやらせていたことを元に、「こうすれば子どもはもっと成長するだろう」という視点で、カリキュラムを考えています。多少、難しくても、やればできるようになります。
多くの小学校受験塾は、運動、絵画・工作など入試の考査に合わせて項目別にきっちり分けていたり、学校別の入試動向を踏まえたカリキュラムを用意したりしているのが一般的です。
しかし、つくし会ではそうしたことは一切やらず、一人ひとりに合わせて、知育、体育、絵画・制作、お話づくりなどを組み合わせて指導しています。
ですので、これだけやればよい、という一律的なカリキュラムというものは存在しません。わたしがつくってきたツールの中から、その子のいまの状況に必要だと感じたものを与え、それができたら少し難しいことに挑戦させたり、似ているけれどちょっと視点が違うことに取り組ませたりしています。その子にとって、どうするのがいいのかを考えて、柔軟に取り組んでいます。
教室にはイスがない。立つことで集中力を養う
つくし会にはイスがありません。いえ、正確に言いますと、イスはちゃんとありますが、使いません。教室がスタートした当初から、すべて立って行っています。
息子たちが小さいころ、イスを使っていましたが、「立っているほうが集中力がつく」という話を聞き、「そうかも」と、立たせてみたり、座らせたり、いろいろ試してみました。
そして自分がいざ人のお子さんを預かるときに、思い切って立ってやることにしたのです。イスをガタガタして注意している時間が無駄ですし、つくし会では子どもがペーパーを取りに来て、自分の席に戻って作業をして、また採点のために席を立つ、というスタイルなので、いちいちイスを出したり引いたりは、子どもたちにとっても面倒で、そもそも座っている時間は短いのです。いっそ立っていたほうが無駄がないし、動きやすいし、場所もとらない、と考えました。
もう一つの理由は、しっかり大地を踏みしめることで、踏ん張れる体になると考えたからです。
しっかり立つことができれば、しっかり座れるようになるのです。“座りすぎ”は健康にも悪影響を及ぼすという研究結果も多く報告されています。つくし会の子どもたちも、ペーパーや工作を、すべて立って、2~3時間は平気で集中してやっています。