いつどこで仕事をするかは、社員が決める
同社では、いつどこで仕事をするかは基本的に社員に任されている。状況に合わせて自分で決めることができ、出社不要と判断した場合には自宅で仕事をするのも自由だ。
こうした働き方を実現するには、どんな場所からでも社内にいるときと同じ情報、同じアプリケーションにアクセスできる仕組みが必要になるが、そのための技術は同社が最も得意とするところ。
企業のデジタル化やモバイル化を専門としているだけあって、社内でも端末やセキュリティーの管理など、ほぼすべてに自社製品が使われている。自由な働き方のための環境整備はお手のものと言えるだろう。
しかし、代表取締役社長のジョンロバートソンさんは「外資系とはいえ、当初は日本的な企業風土が根強く残っていた」と言う。社員の帰宅時間は遅く、有給休暇を使い切る人は少数派。当時はまだ社長ではなかったが、これではいけないと率先して改革に乗り出した。
「仕事と休みのバランスを整えていかないと、みな疲労がたまるばかり。そもそも、うちはどこでも仕事ができるシステムを売っているのに、本人たちが長時間会社にいるのでは説得力がありません」
休みを取れ、毎日出社しなくてもいいんだと言い続けた結果、有休消化や自宅勤務の割合は徐々に増加。フロアにいる社員の少なさに不安を感じたこともあったが、業績は一向に下がらなかった。
社員は人が見ていないところでもちゃんと仕事をして、成果を出してくれる――。自分の考えは間違っていなかったと確信した彼は、社長就任後、この方針をさらに推進。社内の座席も自由化を進め、誰もが好きなときに好きな場所で働ける環境を整えた。社員を自席や会社に縛りつけないという方針は、彼らへの深い信頼の証しと言えるだろう。