もとより、いきなり企画のジャストアイディアが出てくるものではないのだと思います。そんなことができる人は、そうそういない。世界的なアーティストをもってしても、です。それよりも、企画のヒントになるキーワードがどのくらい引っ張り出してこられるか、ということです。ここから、企画につなげていけばいいのです。
あの「ガースー」が語るヒット企画の生み出し方
話を聞いてびっくりした、といえば、たくさんの高視聴率バラエティー番組を生み出したテレビプロデューサーもその1人でした。ウェブ上に対談記事が掲載されていますが、元日本テレビの菅賢治さんです。『恋のから騒ぎ』や『踊る! さんま御殿!!』などを生み出し、テレビ業界でもアイディアマンとしてもよく知られている人物。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の名物プロデューサー、ガースーと聞けばわかる方も多いかもしれません。
取材で彼はこんなふうに断言していました。
「会議室で企画が出たことなんてない」
1人でウンウン考えたりもしない。では、どこで企画が生まれているのかというと、外に出掛けたり、電車に乗ったり、どうでもいいバカ話をしているときに浮かんだりするのだ、と。
会議をしないわけではありません。しかし、だらだらはやらない。90分以上の会議はやらない、と言われていました。テレビの世界では、5時間も6時間も会議をして企画を決めていく世界もあるそうですが、彼はやらない。
「7時間も会議をやって、結論が出ていないのに、こんなに会議をやったんだから、と安心しちゃうようなのが、嫌いなんです」
『さんま御殿』は夜たまたまテレビを見て思いついた
だから、90分で一度切って、宿題にして持ち帰るのだそうですが、みんなそのままでは帰らない。夜の街に繰り出したりするのです。そして飲んだくれて、いろんな話をする。
高視聴率をたたきだした人気番組『踊る! さんま御殿!!』の企画のヒントは、夜中に飲んで帰ってテレビをつけたら、時代劇をやっていたことだったそうです。そのタイトルを見てハッとひらめいて、企画の重要なキーワードになった。本当にそれだけだったのだそうです。
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宿題にして、後は飲みに行ってしまう
テレビ局に雑誌がたくさん置いてあるそうですが、彼はそれも見ない。趣味の本や雑誌しか見ない。それは、自分が好きだから。
業界人ともつるまない。それより突然、スタッフみんなでカラオケに行ったりする。そうすると、うまい人よりも超音痴の人のほうが、大うけで盛り上がることに気づけたりする。こういう体験が企画に直結していくのです。