再エネ導入拡大に向けた「日本版コネクト&マネージ」

今後、再生可能エネルギーの導入量が増加していくと、電力ネットワークの増強や新設が必要となるが、それには多額の費用と時間が必要となる。そこで現在、注目されているのが、イギリスやアイルランドなどで導入されている「コネクト&マネージ」という考え方だ。

欧州における「コネクト&マネージ」は、既存のネットワークを最大限活用し、一定の条件を付けた上で再生可能エネルギーの接続を認める制度である。日本では、こうした海外の状況なども参考に、「日本版コネクト&マネージ」として、

・送電線の潮流(流れる電気の量)をすべての電源がフル稼働した前提ではなく、実際の利用状況に近い想定で算定し、それによって生じる空き容量を活用する方法(想定潮流の合理化)
・事故が起きた時に送電線に流れる電気を瞬時に制限する方式を採用することで、緊急時用に空けておいた容量の一部を活用する方法(N-1[エヌマイナスイチ]電制)
・潮流が小さく送電線の容量に空きがあるときに発電でき、所定の容量を超えた時には抑制することを前提に接続する方法(ノンファーム型接続)

などについて、技術面や運用面などを含めた検討が進められている。このうち「想定潮流の合理化」については2018年度早期、「N-1(エヌマイナスイチ)電制の部分的な運用」については、2018 年度上期末をめどに適用を目指すとされている。

石川氏も「既存の電力ネットワークを有効活用し、再生可能エネルギーの最大限の導入を目指すことは、前向きな取り組みとして評価できる。電力各社も検討に積極的に協力するとしており、国や広域機関が停電リスクや再エネの発電にかかる費用負担の考え方を説明しながら、検討を進めるべきだ」と話す。

2017年12月、国の有識者会議である「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が設置され、同委員会や広域機関において「日本版コネクト&マネージ」に関する議論が進められている。再生可能エネルギーはCO2を排出しない一方で課題も多いが、今後の導入拡大に向けては、電力の安定供給や電気料金への影響も十分に考慮した、適切なルール作りが行われることを期待したい。

(写真=iStock.com)
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