就職先や転職先を探す際、最も気にかかるのが、その会社が「一生安泰か」「今後伸びそうか」だろう。2人の決算書分析の専門家に自分に適した企業の探し方を聞いた――。
企業の「成長性」「収益性」「安定性」の見方
就職先・転職先選びの基本は、仕事のやりがいと報酬の高さ、加えて倒産リスクがない経営の安定性だろう。またやりがいとはビジネスが拡大路線であるかという成長性と関連が深く、報酬の高さは給与の源となる収益性と密接につながる。つまり「成長性」「収益性」「安定性」の3つを分析することが重要となる。
グロービス経営大学院の佐伯良隆教授は「この3つの指標を駆使し、過去10年、最低でも5年の長さで企業の決算書の各項目の変化をとらえることが重要」だと指摘する。
成長性は「今期の売上高÷前期の売上高」から求められる、「売上成長率」や「総資産」に対する売上高の割合「資産回転率」を見ることで分析できる。「売上成長率」は現在の日本の経済成長率(GDP)と比較するとその企業の国内でのポジションがわかる。例えば、ヤフーの場合、「今期85億円÷前期65億円」で前期比約31%の売上高の伸びがあった。これは国内平均の20倍の成長を遂げており、成長性が飛びぬけて高い企業だと分析できる。